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マーケティングにも活きるPDCAサイクル。進化系PDSAサイクルについても解説【マーケティングコラム】

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「PDCA」は、元々は工場の生産効率を高めるために作られたフレームワークです。ビジネスシーンでも利用されており、マーケティング施策にも応用できる方法です。

また、一歩進んだ考え方で「PDSA」は、単にC[チェック(評価)]ではなくS[スタディ(学習)]という分析的な過程が含まれているため、こちらもマーケティング施策に応用可能でしょう。この記事では、PDCAサイクルやPDSAサイクルの基本のほか、具体的な進め方や事例についても解説します。

 

PDCAサイクルとは?


「計画を立てる(PLAN)→ 実行する(DO)→ 結果を評価・点検する(CHECK)→ 必要に応じて改善する(ACTION)」。
この一連のサイクルを「PDCAサイクル」と呼びます。

PDCAサイクルは、品質管理の根本的理念として、1950年に「品質管理の父」と称されるアメリカ人の統計学者ウィリアム・エドワーズ・デミング博士が日本に紹介したフレームワークです。

PDCAサイクルの概念は、日本の産業に多大な影響を与えました。工場の生産ラインの効率アップでは「PDCAサイクル」が採用され、品質管理・生産管理・業務改善などの継続的な改善手法として活用。PDCAサイクルは製造業のみならず、さまざまなビジネス分野でも導入されています。
とりわけデジタルマーケティングの分野で有効活用されており、コンテンツマーケティング(※1)・メールマーケティング(※2)・インターネット広告(※3)などの実践において頻繁に利用されています。

(※1)コンテンツマーケティング
適切で価値ある一貫したコンテンツを作り、それを読者に発信・伝達することにフォーカスした、マーケティング手法のひとつ。企業が保有するオウンドメディアを活用して実施される。読者を引き寄せ、関係性を構築し、利益に結びつく行動(問い合わせフォームへの誘導など)を取らせるのが目的。

(※2)メールマーケティング
ダイレクトメールの配信によって情報発信を行い、顧客とコミュニケーションを取マーケティング手法。SNSがコミュニケーションツールの主流となった現代においてもメールのユーザーは多いことから、有効なマーケティング手法として活用されている。BtoB業界では特に有効活用される。

(※3)インターネット広告
インターネット上のWebサイトやメールなどを利用し、企業が製品やサービスの情報を発信する宣伝活動全般を指す。リスティング広告、ディスプレイ広告、アドネットワーク広告などさまざまな種類がある。2019年にテレビCMの市場規模を超えて、もっとも影響力のある広告手法となっている。

 

PDSAサイクルとは?   


PDCAサイクルを提唱したデミング博士は、1980年代には「PDCAサイクル」を進化させて、研究・分析要素が加わった「PDSAサイクル」を提唱しました。「CHECK(評価・点検)」の代わりに「STUDY(学習)」のフェーズを置き、深く学んだ上で振り返ることで、さらなる改善につなげる考え方です。

PDCAサイクルからPDSAサイクルへと発展した理由は、PDCAサイクルの「CHECK(評価・点検)」では、計画に基づいた修正しか果たさず、不十分であると考えられたためです。プロセスそのものの見直しを行って根本的に問題を解決するには、「STUDY(学習)」が有効であるとされています。

現状の評価・点検にとどまるPDCAサイクルに対して、PDSAサイクルでは新しい発見や発想が生まれやすく、業務改善を効果的にしやすくなるといわれています。

 

PDCAサイクル・PDSAサイクルのメリット


PDCAサイクルのメリット

PDCAサイクルは、改善活動の基本。汎用性があり、品質管理をはじめ、経営戦略や人材育成など、幅広く活用できるのがメリットです。改善のスピードアップ、タスクの可視化に役立ちます。

 

PDSAサイクルのメリット

「CHECK(評価・点検)」に代わり、研究することで多角的に分析できるのがPDSAサイクルのメリット。その場しのぎの対処で済ますのではなく、プロセスそのものを根本から見直すのに役立ちます。

 

PDCA、PDSA各ステップの要点と具体的な進め方


PDCAの各ステップの要点とコツ

・PLAN(計画を立てるフェーズ)
目指すべきゴールを具体的に設定したうえで、必要なアクションを計画します。

・DO(計画を実行するフェーズ)
後から結果を客観的に分析するために、計画した通りのアクションを実行します。

・CHECK(計画の進捗確認と、問題点を洗い出すフェーズ)
定期的に進捗をチェックし、意図した目標に達成できたか、方向性にブレがないかを確認します。

・ACTION(問題点を改善するフェーズ)
「何が要因で問題が解決できなかったか?」「何が要因して目標を達成できたか?」を振り返ります。

 

PDCAサイクルを進める際の注意点

PDCAサイクルを回すときに注意したいのは「具体性」と「継続性」です。例えば、「ミス率を0.5%下げる」「1年後に売上を10%伸ばす」など、ゴールを数値化しましょう。そして、ゴールから逆算し、目標達成のために「必要なアクション」「目指すべき姿」を、できるだけ明確に想定します。計画は具体的であるほど、「CHECK」のフェーズで判断がしやすくなります。

ただ、計画を考える際、実現が見込めない高すぎる目標を設定しないようにしましょう。曖昧な計画も良くありません。なお、PDCAサイクルでは、4つのフェーズを繰り返して行うことで、継続的な改善を図るのがおすすめです。

 

PDCAサイクルをうまく回すコツ。DOを細分化する

PDCAサイクルを実践してみたものの「イマイチうまくいっていない」「何度回しても成長が見られない」という方もいるのではないでしょうか。そんな方は、PDCAの「D」、DOの箇所の深堀が不十分な可能性があります。ここでは、DOを細分化して、PDCAの精度を高める方法をご紹介します。

・DOはそのままでは実行しづらいと知る
DOは「やるべきこと」に該当します。そのため、内容に具体性が乏しいとなかなか行動に移せない、または行動に移すものの正確性に欠けてしまうなどの問題が発生するのです。「やるべきこと」を定めたら、そのままにせずに「やるべきこと」を分解してタスクレベルに細分化することが大切です。

・DOを細分化する方法
以下のような方法でDOを細分化してみてください。

【DO】例:生産性の向上のためにツールを導入する
【タスクの細分化】
(今日中に)ツールの候補を3つ選定する
(明日中に)担当者にMTGと見積もりを依頼する
(MTG後に)上長とのMTGを設定する
(MTG後に)それぞれのツールの特徴と金額をまとめる
(上長とのMTG後)導入するツールを決定する
(ツール決定後に)担当者とのMTGを設定してヒアリングを実施する

DOを定めて安心するのではなく、「やるべきこと」が確実に実行できるようにタスクを細分化することが大切です。PDCAが上手くいかないという方は、ぜひ実践してみてください。

 

PDSAの各ステップの要点とコツ

・PLAN(計画を立てるフェーズ)
目指すべきゴールを具体的に設定したうえで、必要なアクションを計画します。

・DO(計画を実行するフェーズ)
後から結果を客観的に分析するために、計画した通りのアクションを実行します。

・STUDY(計画の研究をして、分析するフェーズ)
計画の進捗確認だけではなく、計画を阻んでいる原因を突き止めます。

・ACTION(問題点を改善するフェーズ)
「何が要因で問題が解決できなかったか?」「何が要因して目標を達成できたか?」を振り返ります。

 

PDSAサイクルを進める際の注意点

PDCAサイクルの進化系であるPDSAサイクルは、前例主義にとどまらず、新しいアイデアに目を向けられる概念です。STUDYのフェーズにおいて、計画から進捗状況が外れている場合は、計画そのものを見直して根本的な課題解決の取り組みを行ういましょう。

計画との相違の発見や修正、過去の実績や施策との分析だけではなく、他の事例に目を向けて「試行錯誤」を重ねてください。

 

PDSAの要点は「S」にある

PDSAを実践する際に重要になのは「S(STUDY)」の部分です。DOによって得られた結果について、より深く洞察して分析・学習することによって「A(ACTION)」の精度が変わってきます。「D」の結果に対して、うまくいった場合はなぜうまくいったのかの分析を、うまくいなかった場合はその理由を可能な限り多く抽出して「○○は失敗する」「○○は成功する」など、法則と呼べるところまで学びを深められるのが良いでしょう。

 

マーケティングにおけるPDCAサイクルのモデルケース


マーケティングでPDCAサイクルを回すには、長い目で取り組む姿勢が必要です。PLANを立てるだけで満足せず、効果改善のための振り返りを行いましょう。

 

メールマーケティングのPDCAサイクル

PDCAサイクルの計画(PLAN)フェーズでは、メールマーケティングで達成したい目標を考えます。例えば、「商品の購入を促したい→コンバージョン率10%アップ」「問い合わせを増やしたい→メール開封率10%アップ」など、数値化できる目標を設定してください。合わせて、メール配信の対象者のペルソナ設定も行います。メールマーケティングには、開封人数・クリック数などが把握しやすい有料の配信サービスを使用しても良いでしょう。

実行(DO)フェーズでは、件名などを工夫した上でメールを配信します。PDCAサイクルを回すのに評価(CHECK)フェーズは最も大切であり、開封人数・クリック数などの効果測定を忘れずに。改善(ACTION)フェーズでは、開封率の低さやクリック数の低さなど、効果測定で明らかになった結果から、改善例を考えましょう。もしメールの開封率が悪ければ、配信日時・メールの件名・ペルソナ設定などの見直しを行って、次のPDCAサイクルに活かしてください。

 

Web広告運用のPDCAサイクル

Web広告運用を効果的にするにも、PDCAサイクルが有効です。PDCAサイクルの計画(PLAN)フェーズでは、まず広告を訴求するターゲット層を設定。そして、「ブランドの認知度を高めたい→1万回以上のクリック数」「新商品をアピールしたい→コンバージョン数を50件以上/月」など、具体的な数値目標を立てます。曖昧なPLANにしないことで、PDCAサイクルの評価(CHECK)フェーズで数字の根拠をもって判断できるようになるでしょう。

実行(DO)フェーズでは、設定したターゲットと目標に適した出稿方法を決定。リスティング広告・SNS広告などから出稿方法を選び、広告コンテンツを出稿します。評価(CHECK)フェーズでは目標と現状の効果測定を行い、改善(ACTION)フェーズでは「目標を達成できた要因は何か?」「目標が未達になった要因は何か?」を見直します。

ターゲット設定・広告コンテンツの改善・出稿方法の検討を行ったうえで、再度PDCAサイクルを回しましょう。

 

まとめ

マーケティングの世界でも、改善を目指すにはPDCAサイクルが欠かせません。しかし残念ながら、企業担当者の中には「PDCAサイクルを1回で終了して、気づきを次に生かせなかった」「抽象的な評価にとどまり、無意味な施策に終わった」など失敗例も聞こえてきます。前述でも紹介した「具体的な計画を立てる」「施策の評価を曖昧にしない」など、PDCAサイクルの基本をおさえて、効果的な改善につなげましょう。

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