X(旧Twitter)広告は、多彩なターゲティング方法と高い拡散力により、企業やブランドにとってとても魅力的な広告プラットフォームです。
しかし、X広告を始めるためには、さまざまな種類のターゲティングを理解し設定しなければなりません。どのような設定をすれば、より効果的な広告を配信できるのでしょうか。
今回は、X広告のターゲティングの種類や設定方法をわかりやすく解説します。
目次
<基本篇>
1.X広告のメリットとは?
1-1.拡散力が高い
1-2.アクティブユーザー数が多い
1-3.興味のあるユーザーを狙い撃ちできる
2.X広告のターゲティングの種類
2-1. テイラードオーディエンスターゲティング
2-2. オーディエンスの特性によるターゲティング
2-3. X広告のオーディエンスの種類
<実践篇>
3. X広告で成果を出すためのセグメントプランニング実践
3-1.自社の強みやアピールポイントを明確にする
3-2.ターゲットを明確にする
3-3.ターゲットに合わせて設定のプランニングをする
3-4.必要に応じてキーワードターゲティングを活用する
4.クレジットカードデータ(セゾンデータ)でX広告データの弱点を補完する
5.まとめ
X広告のメリットとは?
X広告には、以下のような3つのメリットがあります。
- 拡散力が高い
- アクティブユーザー数が多い
- 興味のあるユーザーを狙い撃ちできる
それぞれ解説します。
1. 拡散力が高い
通常のツイートに対するリアクションと同じようにX広告に対しても「リツイート」や「いいね」ができます。他のユーザーの投稿を、自身のフォロワーと共有するのが「リポスト」です。また、他のユーザーの投稿に対して高評価を示して共有するのが「いいね」です。
これら2つの機能によって、広告を見たユーザーがいいねやリポストで拡散し、それを見たユーザーがさらにその広告を拡散します。さらにそれを見た他のユーザーがまた拡散するという二次拡散が期待できるのです。
二次拡散は追加料金が不要で、情報が広がれば広がるほど無料で情報を拡散でき、他のSNSと比較すると、2次拡散性の高い広告です。
2. アクティブユーザー数が多い
Xは、アクティブユーザー数が多いこともメリットとして挙げられます。
日本国内における月間アクティブユーザー数は6,500万人(2024年1月時点)と言われています。
若年層は新聞をとらない、テレビを見ないという傾向があるため、マス広告が届きにくいといわれています。
これらの年齢層をメインターゲットとしたサービスや商品の広告をリーチするには、X広告は抜群の効果を発揮できるのです。
3. 興味のあるユーザーを狙い撃ちできる
X広告は、さまざまなターゲティングができる特長もあります。商品やブランドに対する興味や関心が高いユーザーへ、ピンポイントにアプローチできます。
また、ユーザーのツイートやリツイートの傾向、広告キャンペーンへの反応からユーザーの興味関心を分析する機能が備わっています。それにより、自社商材に興味のあるユーザーのみに絞って広告を配信することが可能です。
さらに、X独自のターゲティングツールの活用によって、さまざまなタイプのターゲティングが可能です。たとえばユーザーの地域、性別、年齢などの属性、競合他社や類似ブランドをフォローしているユーザー、特定のキーワードで投稿したユーザーごとにターゲティングできます。
X広告のターゲティングの種類
ここでは、X広告のターゲティングの種類とその特徴について解説します。
1. テイラードオーディエンスターゲティング
テイラードオーディエンスとは、今までに配信したX広告やアカウントに興味を持ったことのあるユーザーに対して広告を流すサービスのことです。
テイラードオーディエンスターゲティングには以下の3つの方法があります。
- オーディエンスリストターゲティング
特定のユーザーをターゲティングするためにリストを使う方法です。
Eメールのリストをアップロードして利用でき、Xのユーザー名を用いて各業界のインフルエンサーをターゲティングできます。
- ウェブサイトターゲティング
ターゲティングするためのデータは、XのウェブサイトタグやXの公式パートナーを利用して収集できます。
- モバイルアプリのユーザーターゲティング
コンバージョントラッキングを設定すると、モバイル端末で広告を見たユーザーが、その後ノートパソコンで見直したとしても、広告キャンペーンのコンバージョンが測定されます。
2. オーディエンスの特性によるターゲティング
デモグラフィックターゲティングが可能となります。ユーザーの年齢や性別などのデータをもとに、広告を提供するターゲティング手法です。
オーディエンスの特性によるターゲティングには主に5つの方法があります。
- 地域ターゲティング
国・都道府県・市区町村、郵便番号によって設定できます。地域を複数選択することも可能です。
- 言語ターゲティング
ツイートや反応したトピックから判断し、オーディエンスが使用していそうな第一言語でアプローチします。日本語や英語、韓国語など46ヵ国から選択が可能です。
- 端末、プラットフォーム、Wi-Fiターゲティング
ユーザーの使用端末、iOS、AndroidなどのOS、契約している携帯電話のキャリア、最近端末を購入、または携帯電話会社を変更したXユーザーをターゲティングできます。Wi-Fiへ接続しているユーザーもターゲティングできます。
- 年齢ターゲティング
年齢の範囲選択をする際、たとえば13~24歳、18~34歳など、いくつかの決められた範囲の年齢を設定できます。または13歳以上(最低年齢)、35歳以上、50歳以上と設定することも可能です。
- 性別ターゲティング
選択肢は性別を選択しないか、女性、男性かを選べます。ユーザーが入力したプロフィールの性別データを使用しています。性別を入力していない場合は、アカウントの類似性から性別を判断します。
3. X広告のオーディエンスの種類
X広告でターゲティングできるオーディエンスは、全部で7つあります。
- 会話ターゲティング
会話は全25カテゴリー存在し、10,000を超えるトピックから選択できます。
- イベントターゲティング
オリンピックや政治など、世界で起きているさまざまなイベントから選択できます。現在行われているイベント、もしくは実施が予定されているイベントもターゲティングできます。
- ツイートエンゲージャーターゲティング
エンゲージメントしたことのあるアカウントに向けて広告を送ることができます。
エンゲージメントには9つの種類があります。
- いいね
- リツイート
- リンクのクリック(ハッシュタグも含む)
- ツイートの詳細表示
- 画像拡大や動画の再生
- 投票への反応
- インプレッション
- 共有
- プロフィールのクリック
- キーワードターゲティング
特定のキーワードを使って検索した、ツイートした、反応したユーザーの設定や除外ができます。キーワードの設定は750個まで設定可能で、X公式では25~50個程度の設定をおすすめしています。
- 映画とテレビ番組のターゲティング
映画やドラマ、バラエティ番組の番組名での選択が可能です。ツイートした、または反応したユーザーをターゲティングできます。
- 興味関心ターゲティング
25種類の興味関心カテゴリー、および350種類以上のサブトピックの中から選択できます。
- フォロワーが似ているアカウントのターゲティング
別のアカウントのフォロワーと似た反応を表すユーザーを設定できます。似ているユーザーかどうかは、ツイートの内容やいいねの欄から判断されます。
X広告で成果を出すためのセグメントプランニング実践
前述に記載のX広告のターゲティング手法を実際に活用したワークフローを実践してみましょう。
今回は分かりやすいように、「都内近郊で分譲住宅を販売している不動産企業(A社)】の商材を想定してセグメント案を考えていきたいと思います。
1. 自社の強みやアピールポイントを明確にしよう
まずは自社サービスが所属するマーケットでの立ち位置を分析することが重要です。分析には、3C等のフレームワークを活用すると良いでしょう。また、直近では、他社のサービスページで、どのような広告を実施しているのかの情報を収集することができるツールもあり便利です。
- Customer(市場・顧客):市場にはA社の他に多数の競合プレイヤーが存在し競争率が高い。一方、昨今のテレワーク文化の普及により、都心に住んでいた方が都心から首都圏近郊地域のリゾート地に住まいを求めるトレンドが発生しているため、首都圏居住者のIターン需要を皮切りに市場の拡大が期待できる状況にある。
- Competitor(競合):B社、C社
- Company(自社):リゾート地に親和性が高い住宅環境の提案が強み。
2. ターゲットを明確にしよう
ステップ1の分析により、ある程度の方向性が見えてきたら、ターゲットをより具体的に落とし込むために、ペルソナ設定をすることが有効的です。
3. ターゲットに合わせて設定のプランニングをしよう
ペルソナで明確化したターゲット像を元に、実際にTwitter広告で設定可能なターゲティングセグメントのプランニングを行いましょう。
ペルソナ情報から今回は、“都内近郊に居住する既婚男性で、且つ、賃貸物件を利用しているユーザー”に対して持ち家の購入を提案する広告配信が有効であると考えられます。そのため、Twitter広告内に保有する「性年代」「エリア」のデータを活用することで、以下の条件を指定することが可能です。さらに、ペルソナの嗜好に合わせたアウトドアなどの興味関心データや商材と類似した情報発信を行っているアカウントを指定した「フォロワーが似ているアカウントのターゲティング」といったターゲティング手法を組み合わせて活用することも有効です。
- X広告における設定例:
性別 :男性
年齢 :30~39歳
地域 :東京都(23区)
神奈川県/埼玉県/千葉県(都心部を市区町村単位で指定)
言語 :日本語
端末 :iOS、Android
興味関心 :スポーツ — サーフィンとボディーボード
旅行 — キャンプ
スキー&スノーボード
フォロワーが似ているアカウント:分譲住宅系企業アカウント、アウトドア企業アカウント
上記のように、X広告が持ち得るデータの中から広告を届けたいユーザーに合わせた条件を指定することで広告効果を高めることが期待できます。
しかしながら、X広告が提供するデータのみではペルソナ像に対して叶わない条件も存在することが分かります。上記の場合だと、X広告は居住形態の情報を提供していないため、既に持ち家を所有している人が一色単に配信対象者として含まれてしまいます。デジタル広告では、このような条件をできるだけ正確に指定できることが望ましく、さらには前述で説明した推定ターゲティングの特性を踏まえると最良なプランであるとは言い難いです。
このように、集客与件に対して利用するプラットフォームの仕様と照らし合わせた上で最良のプランを設計することが必要である一方、合致しない条件については目をつぶるしかなく歯痒い思いをするケースも多いのではないかと感じています。
それ以外にも、媒体データのみでプランニングする場合、
下記のような課題をよく耳にします。皆さんはいかがでしょうか。
・居住形態を指定したい
・年収情報を任意で指定したい
・興味関心ではなく購入実績がある人へ配信したい
・搭載されている各種データのが不明瞭でペルソナへ届いているか心配
このような課題に対して、プラットフォーム独自のデータ以外の方法として、1stパーティデータを活用することでその穴を補うことができます。例えば、弊社が保有する“クレジットカードデータ”もその一つです。
クレジットカードデータ(セゾンデータ)でX広告データの弱点を補完する
弊社が独自に提供しているクレジットカードデータを活用いただくことで、X広告が抱える情報では絞り込むことができないターゲティング条件を実現することができます。
また、クレジットカード発行に際しては、全てご本人様確認を実施しておりますので、データの正確性が高い点に特徴があります。
- クレジットカードデータを利用するコツ
①事実データを優先してX広告データの代わりに利用する(代替利用)。
②X広告データの強みと当データの強みを掛け合わせて利用する(補完利用)。
②の目的については注意が必要です。
一般的なデジタル広告の考え方として、配信対象者を狭めすぎると入札単価が過度に高騰してしまい、結果的に配信効率の悪化を招くケースが少なくありません。
データの正確性と配信ボリュームのバランスに気をつけながら適切にプランニングすることが重要です。
先の分譲住宅の例に沿って補完目的でクレジットカードデータを活用すると以下の通りに設定することができます。
- X広告×クレジットカードデータにおける設定例:
<X広告データ>
性別 :男性
年齢 :30~39歳
地域 :東京都(23区)
神奈川県/埼玉県/千葉県(都心部を市区町村単位で指定)
言語 :日本語
居住形態 :賃貸
未既婚 :既婚
端末 :iOS、Android
<検証要素>
①興味関心 :スポーツ — サーフィンとボディーボード
旅行 — キャンプ
スキー&スノーボード
②フォロワーが似ているアカウント:分譲住宅系企業アカウント、アウトドア企業アカウント
③購買履歴 :アウトドアブランド
スキー&スノボーブランド
X広告データを単体で利用した場合に比べて、
よりペルソナ像に近しい条件でセグメントを設定することができました。
もちろんクレジットカードデータにも不得意なセグメント条件が存在します。
データの特性に合わせてプランニング内容を見極めることでより良いセグメント設計を実現しましょう。
<クレジットカード(セゾンデータ)の基本情報>
クレジット会員:3,500万人(※1)
カード取扱高:8.3兆円(※2)
(※1:クレディセゾン単体では2,500万人
※2:カードショッピングおよびカードキャッシングの合計。対象は「イシュア+資本提携先クレジットカード」)
■会員属性情報
カード発行時に登録する、性別・年代・年収などのユーザー属性情報です。
■カード利用情報(購買情報)
利用した日付・場所・時間などのカードの利用情報です。
会員属性情報とカード利用情報を組み合わせることで、角度の高いターゲティングと高精度なセグメンテーションを実現。広告配信の成果へリーチします。
まとめ
X(旧Twitter広告)は、拡散力が高く二次拡散を期待できる特長があります。国内のアクティブなユーザー数は4,500万人で、その多くは10~20代の若年層が締めています。
また、さまざまなターゲティングの種類を設定できることから、より詳細なユーザーグループを設定できるため、ピンポイントに広告を狙い撃ちできる利点もあります。
適切なターゲティングを行えるため、X広告は他のSNS広告に比べてより効果的な広告を配信することが可能です。
ターゲティングの正確性を高め、効率的な広告配信により最大限の成果を出すためには、クレジットカードデータ(セゾンデータ)を活用するのも一つの方法です。興味のあるご担当者の方は、お気軽にご相談ください。