2019年、インターネットの広告費がテレビや新聞などの広告費を超えました。その中でも、特定のユーザーへピンポイントで配信可能なSNSマーケティングである「Instagram広告」を活用する企業が増えています。
これから、Instagram広告を導入しようと予定されているご担当者もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回は、Instagram広告のターゲティングとは何か、特徴やターゲット設定のポイントについて解説します。
目次
<基本篇>
1.Instagram広告のターゲティングの仕組みや特徴とは
2.Instagram広告のターゲティングの種類
2-1. コアオーディエンス
2-2. カスタムオーディエンス
2-3. 類似オーディエンス
<実践篇>
- Instagram広告で成果を出すためのセグメントプランニング実践
3-1.自社の強みやアピールポイントを明確にする
3-2.ターゲットを明確にする
3-3.ターゲットに合わせて設定のプランニングをする
3-4.必要に応じて類似オーディエンスを活用する
4.クレジットカードデータ(セゾンデータ)でInstagram広告データの弱点を補完する
5.まとめ
Instagram広告のターゲティングの仕組みや特徴とは
InstagramはMeta社が提供するSNSサービスで、同じくFacebookも同社がサービスを運営しています。そのためInstagram広告を利用する際、Facebook広告の仕組みも活用できます。
Facebookは実名登録が必要なため、収集したデータの信頼性が高いことから高精度なターゲティングができるのです。
一方、Instagramは趣味や関心に基づいてつながるプラットフォームであり、ユーザーの好みを学習する仕組みが組み込まれています。
Facebookで収集した高精度な属性データと、Instagramで収集した興味や関心のあるデータを組み合わせることによって、他のSNSに比べてより詳細にセグメントされたターゲティングを設定できます。
例えば、Instagramでは個人情報を入力する項目が少ないのですが、ユーザーの年齢や生年月日を元にしたターゲティングができるのはFacebookと連携しているためです。
ただし、ユーザーがInstagramとFacebookの連携を設定していることが前提です。
ペルソナが明確に定まっている企業や、ターゲティングをより詳細に設定し、見込みの高いユーザーへ広告を提供したい企業にとっては非常に高いメリットといえます。
Instagram広告のターゲティングの種類
Instagram広告のターゲティングの種類は、以下3つに分かれます。
- コアオーディエンス
- カスタムオーディエンス
- 類似オーディエンス
それぞれ解説します。
1. コアオーディエンス
コアオーディエンスとは、興味関心やユーザーデータ、位置情報などの条件によって広告を発信するターゲットを絞り込む方法です。
コアオーディエンスは、「ユーザー属性ターゲティング」と「インタレストターゲティング」の2つに分けられます。
- ユーザー属性ターゲティング
ユーザーの登録情報を活用して、年齢、性別、地域などの情報を元に詳細な属性をターゲティングできます。属性ごとにセグメントできるため、オーディエンスのボリュームを調整することも可能です。
- 年齢
InstagramやFacebookに登録されたユーザーの生年月日をもとに、18歳から65歳以上まで1歳ごとのターゲティングが可能です。年齢の登録情報がない場合には「年齢予測」を設定することもできます。
- 地域
国や都道府県から、さらに市区町村など詳細な設定を行えます。地図上で任意の場所を指定し、その場所からの半径を設定してターゲティングする方法もあります。
また、以下の項目を選択可能です。
・この地域に住んでいる人、または最近この地域にいた人
・この地域に住んでいる人
・最近この地域にいた人
・この地域を旅行中の人
「最近この地域にいた人」「この地域を旅行中の人」を選択することで、観光客や出張中のユーザーへ最適なタイミングで広告を表示できます。
- 性別
「男性」「女性」「全て」の3つから選択できます。
- 属性
ターゲットの属性は以下の項目を選択できます。
・学歴・ファイナンス(収入)
・ライフイベント(転職、出産、記念日など)
・子供がいる人
・交際(交際ステータス)
・仕事
これらを組み合わせることで、より効果的なターゲティングを行えます。
- インタレストターゲティング
インタレストターゲティングは、興味関心や行動をもとにターゲティングを行う方法です。
- 興味関心
スポーツ、ビジネス、家族との交際関係、食品や衣料品など、ユーザーが関心を持っているトピックに合わせて広告を配信できます。自社商品に近いカテゴリーを選ぶことが一般的ですが、過度な絞り込みはリーチを制限する可能性があるため注意が必要です。
- 行動
モバイルを使用するユーザー、旅行、海外在住者、記念日、購入行動など、ユーザーのオンラインおよびオフラインの活動に応じて配信する広告を設定できます。
これらのターゲティングオプションを組み合わせることで、広告キャンペーンのターゲットを効果的に設定できます。
2. カスタムオーディエンス
自社がすでに保有しているユーザーデータを利用して広告を効果的に配信する手法です。従来では難しかった独自のターゲティングが可能です。費用対効果を高めるため特定のユーザーに絞ることや、既存顧客を除外することもできます。
「自社サイトを訪れたことのあるユーザー」「自社の動画を視聴したことのあるユーザー」など、自社と接点があるユーザーに対して、さらに年齢や行動、属性などに基づいたターゲティングを行います。
また、Instagramでのフォローを通じて顧客リストを作成し広告を配信することで、より精度の高い広告を配信できます。
3. 類似オーディエンス
カスタムオーディエンスをベースに、似たようなユーザーに広告を配信するターゲティング手法です。成果が発生したユーザーと類似した属性や行動パターンを持つユーザーへ広告を届けることで、購買意欲が高い可能性のあるユーザー層へリーチできます。
自社のInstagramをよく閲覧してくれるユーザーだけでなく、似た属性や興味関心を持つユーザーにまで広告を届けられます。
類似する度合いは1%から10%まで調整でき、1%の設定が最も似たユーザーに広告が表示されることになります。適切な範囲を選択することが重要で、範囲が狭すぎるとリーチが限られ、広すぎると費用対効果が低下する可能性があります。最初は設定を1%とし、段階的に範囲を広げていくようにするとよいでしょう。
Instagram広告で成果を出すためのセグメントプランニング実践
前述に記載のInstagram広告のターゲティング手法を実際に活用したワークフローを実践してみましょう。
今回は分かりやすいように、「都内近郊で分譲住宅を販売している不動産企業(A社)】の商材を想定してセグメント案を考えていきたいと思います。
1. 自社の強みやアピールポイントを明確にしよう
まずは自社サービスが所属するマーケットでの立ち位置を分析することが重要です。分析には、3C等のフレームワークを活用すると良いでしょう。また、直近では、他社のサービスページで、どのような広告を実施しているのかの情報を収集することができるツールもあり便利です。
- Customer(市場・顧客):市場にはA社の他に多数の競合プレイヤーが存在し競争率が高い。一方、昨今のテレワーク文化の普及により、都心に住んでいた方が都心から首都圏近郊地域のリゾート地に住まいを求めるトレンドが発生しているため、首都圏居住者のIターン需要を皮切りに市場の拡大が期待できる状況にある。
- Competitor(競合):B社、C社
- Company(自社):リゾート地に親和性が高い住宅環境の提案が強み。
2. ターゲットを明確にしよう
ステップ1の分析により、ある程度の方向性が見えてきたら、ターゲットをより具体的に落とし込むために、ペルソナ設定をすることが有効的です。
3. ターゲットに合わせて設定のプランニングをしよう
ペルソナで明確化したターゲット像を元に、実際にInstagram広告で設定可能なターゲティングセグメントのプランニングを行いましょう。
ペルソナ情報から今回は、“都内近郊に居住する既婚男性で、且つ、賃貸物件を利用しているユーザー”に対して持ち家の購入を提案する広告配信が有効であると考えられます。そのため、Instagram広告内に保有する「性年代」「エリア」のデータを活用することで、以下の条件を指定することが可能です。さらに、ペルソナの嗜好に合わせたアウトドアなどの興味関心データを組み合わせて活用することも有効です。
- Instagram広告における設定例:
性別 :男性
年齢 :18~39歳(1歳単位で設定)
地域 :東京都(23区)
神奈川県/埼玉県/千葉県(都心部を市区町村単位で指定)
※この地域に住む人
言語 :日本語
端末 :iOS、Android
興味関心 :キャンプ(アウトドア)
サーフィン(ウォータースポーツ)
スポーツ — スキー
スポーツ — スノーボード
上記のように、Instagram広告が持ち得るデータの中から広告を届けたいユーザーに合わせた条件を指定することで広告効果を高めることが期待できます。
しかしながら、Instagram広告が提供するデータのみではペルソナ像に対して叶わない条件も存在することが分かります。上記の場合だと、Instagram広告は居住形態の情報を提供していないため、既に持ち家を所有している人が一色単に配信対象者として含まれてしまいます。デジタル広告では、このような条件をできるだけ正確に指定できることが望ましく、さらには前述で説明した推定ターゲティングの特性を踏まえると最良なプランであるとは言い難いです。
このように、集客与件に対して利用するプラットフォームの仕様と照らし合わせた上で最良のプランを設計することが必要である一方、合致しない条件については目をつぶるしかなく歯痒い思いをするケースも多いのではないかと感じています。
それ以外にも、媒体データのみでプランニングする場合、
下記のような課題をよく耳にします。皆さんはいかがでしょうか。
・居住形態を指定したい
・年収情報を任意で指定したい
・興味関心ではなく購入実績がある人へ配信したい
・搭載されている各種データのが不明瞭でペルソナへ届いているか心配
このような課題に対して、プラットフォーム独自のデータ以外の方法として、1stパーティデータを活用することでその穴を補うことができます。例えば、弊社が保有する“クレジットカードデータ”もその一つです。
クレジットカードデータ(セゾンデータ)でInstagram広告データの弱点を補完する
弊社が独自に提供しているクレジットカードデータを活用いただくことで、Instagram広告が抱える情報では絞り込むことができないターゲティング条件を実現することができます。
また、クレジットカード発行に際しては、全てご本人様確認を実施しておりますので、データの正確性が高い点に特徴があります。
- クレジットカードデータを利用するコツ
①事実データを優先してInstagram広告データの代わりに利用する(代替利用)。
②Instagram広告データの強みと当データの強みを掛け合わせて利用する(補完利用)。
②の目的については注意が必要です。
一般的なデジタル広告の考え方として、配信対象者を狭めすぎると入札単価が過度に高騰してしまい、結果的に配信効率の悪化を招くケースが少なくありません。
データの正確性と配信ボリュームのバランスに気をつけながら適切にプランニングすることが重要です。
先の分譲住宅の例に沿って補完目的でクレジットカードデータを活用すると以下の通りに設定することができます。
- Instagram広告×クレジットカードデータにおける設定例:
<Instagram広告データ>
性別 :男性
年齢 :18~39歳(1歳単位で設定)
地域 :東京都(23区)
神奈川県/埼玉県/千葉県(都心部を市区町村単位で指定)
※この地域に住む人
言語 :日本語
居住形態 :賃貸
未既婚 :既婚
端末 :iOS、Android
<検証要素>
①興味関心 :キャンプ(アウトドア)
サーフィン(ウォータースポーツ)
スポーツ — スキー
スポーツ — スノーボード
②購買履歴 :アウトドアブランド
スキー&スノボーブランド
Instagram広告データを単体で利用した場合に比べて、よりペルソナ像に近しい条件でセグメントを設定することができました。
もちろんクレジットカードデータにも不得意なセグメント条件が存在します。
データの特性に合わせてプランニング内容を見極めることでより良いセグメント設計を実現しましょう。
<クレジットカード(セゾンデータ)の基本情報>
クレジット会員:3,500万人(※1)
カード取扱高:8.3兆円(※2)
(※1:クレディセゾン単体では2,500万人
※2:カードショッピングおよびカードキャッシングの合計。対象は「イシュア+資本提携先クレジットカード」)
■会員属性情報
カード発行時に登録する、性別・年代・年収などのユーザー属性情報です。
■カード利用情報(購買情報)
利用した日付・場所・時間などのカードの利用情報です。
会員属性情報とカード利用情報を組み合わせることで、角度の高いターゲティングと高精度なセグメンテーションを実現。広告配信の成果へリーチします。
まとめ
Instagram広告のターゲティングは、Facebook広告の仕組みやユーザーデータと連携してユーザーへリーチできる特長があります。Instagramの広告は、ユーザーの好みを学習する仕組みが組み込まれており、コアオーディエンス、カスタムオーディエンス、類似オーディエンスを組み合わせることで、最適な広告をユーザーへ届けることが可能です。
ペルソナを設定し、ターゲティングは細かくしすぎないなどのポイントを抑えることで、より効果的な広告をリーチできるようになります。
ターゲティングの正確性を高め、効率的な広告配信により最大限の成果を出すためには、クレジットカードデータ(セゾンデータ)を活用するのも一つの方法です。興味のあるご担当者の方は、お気軽にご相談ください。