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ブラウザフィンガープリントとは?今注目されている理由やクッキー(cookie)との違い、規制動向についてもご紹介【マーケティングコラム】

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クッキー(cookie) 規制の動きにともない、クッキー(cookie)に代わる技術として注目を集めている「ブラウザフィンガープリント」。この記事では、ブラウザフィンガープリントの概要や使用用途・サードパーティクッキーとの違い・デメリットや規制に関する動向などについてご紹介します。

 

ブラウザフィンガープリントとは


ブラウザフィンガープリントとは、Webページが読み込まれるときにWebサイトがブラウザに要求して取得することのできる、利用者のコンピューターとブラウザに関するデータのことです。このデータには、使用言語やタイムゾーン・インストール済みプラグイン・ブラウザの種類やバージョン・OSの種類やバージョン・画面の解像度・利用可能なフォント・フォント設定などさまざまな情報が含まれます。これらの情報をつなぎ合わせ、「ハッシュ化」と呼ばれる暗号化を行って管理します。

 

ブラウザフィンガープリントの例

以下は、ブラウザフィンガープリントに含まれるブラウザ情報の一部です。以下のような情報を組み合わせて、個々のブラウザ(=ユーザー)を特定します。

 

【ブラウザA(ユーザーAさんが使用しているブラウザ)】
使用言語:日本語
タイムゾーン:UTC+09:00
ブラウザの種類やバージョン:Google Chrome 89
OSの種類やバージョン:mac OS Sierra 10.12.6
インストール済みプラグイン:Flash
画面の解像度: 1366×768×32

 

【ブラウザB(ユーザーBさんが使用しているブラウザ)】
使用言語:日本語
タイムゾーン:UTC+09:00
ブラウザの種類やバージョン:Internet Explorer 11.789.19041.0(11.0.1000)
OSの種類やバージョン:Windows10
インストール済みプラグイン:Windows Mediaファイル
画面の解像度: 1366×768×32

 

【ブラウザC(ユーザーCさんが使用しているブラウザ)】
使用言語:日本語
タイムゾーン:UTC+09:00
ブラウザの種類やバージョン:Apple Safari14.0.3
OSの種類やバージョン:mac OS 11.0 Big Sur
インストール済みプラグイン:Flash
画面の解像度: 1366×768×32

 

これらの情報がすべて一致するブラウザは、通常は数百万にひとつ程度と言われています。そのため、ブラウザフィンガープリントを利用すれば個々のブラウザ(ユーザー)を特定することが可能です

 

ブラウザフィンガープリントの用途


では、ブラウザフィンガープリントには具体的にどのような用途があるのでしょうか。

 

不正アクセスの防止

ひとつは、不正アクセスの防止です。銀行のウェブサイトなどの認証サーバは、ユーザーのログイン時にフィンガープリントを取得・保存します。そして、次にログインしたときの情報が前回と大きく異なる場合、別の端末からのアクセスの可能性が高いと判断します。この方法により、不正アクセスを予防しやすくなります。

 

ターゲティング広告

もうひとつは、ターゲティング広告です。ユーザーがアクセスするWebサイトの傾向をブラウザフィンガープリントを使って取得することで、ユーザーの趣味や趣向にあわせた広告を提供できるようになります

 

例)ユーザーがヘアオイルの選び方についてのwebページを閲覧している→別のWebサイトを開いたときにヘアオイルの広告が表示される

 

ブラウザフィンガープリント技術を用いたターゲティング広告は、サードパーティクッキー利用の広告配信と手法が似ています。

なぜブラウザフィンガープリントが今注目されているのか


今ブラウザフィンガープリントが注目されている最大の理由は、これまでマーケテイングにおいてユーザー特定のために用いられてきたクッキー(cookie)が、プライバシー保護の観点から非推奨化され、廃止されようとしているためです

2020年1月14日に、Googleは「Google Chrome」におけるサードパーティーCookieのサポートを2022年までに段階的に廃止する方針を発表しました。2月には「Google Chrome 80」、3月には「Google Chrome 81」をリリースし、クッキー(cookie)の扱いを見直しています。

ブラウフィンガープリントはクッキー(cookie)を使わずにユーザーを特定する方法であるため、サードパーティクッキー非推奨化の流れのなかで次第に広まりつつあります

※クッキー(cookie)に関する詳しい解説は、別記事の「サードパーティクッキー非推奨化」の記事にリンクさせる

 

ブラウザフィンガープリントとサードパーティクッキーの違いは?

先ほどブラウザフィンガープリントを用いた広告配信とサードパーティクッキーによる広告配信の手法は似ていると前述しましたが、それでは両者にはどのような違いがあるのでしょうか。

 

ユーザーの特定方法が異なる

ブラウザフィンガープリント とサードパーティクッキーは、いずれもユーザー特定を目的としていますが、その特定方法には違いがあります。

 

・ブラウザフィンガープリント
Webブラウザから得られる情報のみを使って個々のブラウザを特定する

・クッキー(cookie)
Webブラウザ上にクッキー(cookie)情報を保存し、Webサーバにアクセスする際に情報を送信することでユーザーを特定する

 

ブラウザフィンガープリントはユーザーの同意が不要

クッキー(cookie)の使用にはユーザーの同意が必要です。「このサイトはクッキー(cookie)を使用しています。承認しますか?」といった注意書きが現れるサイトを見たことがある方は多いでしょう。
対してブラウザフィンガープリントを取得するのにユーザーの同意は必要ありません。ブラウザのシークレットモードを使用した場合もブラウザフィンガープリントの取得を阻止することはできません。

 

ブラウザフィンガープリントの実装方法


ブラウザフィンガープリントの実装には、GitHubにて公開されているオープンソースライブラリ「FingerPrint2」を利用するのが一般的です。FingerPrint2は、JavaScriptを用いてブラウザに関するさまざまな情報を取得しハッシュ値を生成することで、ブラウザフィンガープリントを作成します。

 

ブラウザフィンガープリントのデメリット・規制の動向も


サードパーティクッキーの非推奨化を受けて注目が集まっているブラウザフィンガープリントですが、こんなデメリットも懸念されています。

 

ユーザーがブラウザや端末を変更するとユーザー特定が難しくなる

ブラウザフィンガープリントはブラウザや端末情報のみを利用するため、ブラウザや端末が変わると同じユーザーでも異なる値になり、同一ユーザーだと特定するのが難しくなります
例えば、Aさんはテレワークでは家のノートパソコンを、出社日には会社のデスクトップを使用しているとします。どちらもユーザーはAさんですが、ブラウザフィンガープリントで取得できる情報から得られる値は両者で異なるものとなり、ユーザーが同一だとは認識できません。

 

ブラウザの設定を変更するとユーザー特定が難しくなる

ブラウザフィンガープリントはブラウザや端末情報のみを利用するため、ブラウザの設定を変更すると同じユーザーでも異なる値になり、同一ユーザーだと特定するのが難しくなります。最近のブラウザはアップデートが頻繁で自動更新設定にしている方も多いでしょう。フォントやプラグインの追加などの変更によっても値は変わります。このようなちょっとした変更でユーザー特定が難しくなるのは、ブラウザフィンガープリントの難点と言えます。

 

クッキー(cookie)同様フィンガープリント対策も強化されつつある

ブラウザフィンガープリントが注目されるにつれて、クッキー(cookie)の規制と同様にフィンガープリント対策も強化されつつあります。クッキー(cookie)の非推奨化の動きがプライバシー保護の観点から始まったということはすでにご説明しましたが、ブラウザフィンガープリントにおいてもプライバシー保護と同様の懸念が示されているからです

ブラウザフィンガープリントでブラウザ情報を特定されることで、人によっては「個人情報を勝手に盗まれている」と感じることもあるでしょう。特に、「ブラウザフィンガープリントはユーザーの同意がなくても取得できる」「シークレットモードでも取得を拒否できない」という点が、ユーザーに不安を持たせています。

このような中で、各社はブラウザフィンガープリント に対する対策を強化しているのです。Apple社はフィンガープリント作成防止機能を実装。フィンガープリントの各情報群を"簡略化表示"させることで、ユーザーの特定を難しくする工夫をしています。Google社も、特定の企業がフィンガープリントの情報群に対し1回でアクセスできる量に上限を設ける「プライバシーバジェットAPI」を設けると発表しています。

 

まとめ

サードパーティクッキーの規制が本格化する中、クッキー(cookie)に代わる技術として注目を集めているブラウザフィンガープリント。「FingerPrint2」などのオープンソースライブラリを使用すれば、ブラウザフィンガープリントの実装はそれほど難しいものではなくなっています。しかし、ブラウザフィンガープリントもクッキー(cookie)同様にプライバシー保護の観点から規制が進められつつあるのも事実。今後は、その動向を見極めつつ、適切に対処していく必要があるでしょう。

サードパーティクッキーやブラウザフィンガープリントの規制強化が進めば、今後広告手法の抜本的な変更が迫られるかもしれません。そこで重要になるのが、「事実データ」を広告に活用する手法です。事実データとは、自社が保有する顧客データや購入履歴のこと。ユーザーの同意をもとに、ユーザー自身が記入した情報や実際の行動を基にしたデータのため、広告戦略に活かすことができます。
SAISONターゲティング広告は、約2,700万人のクレジットカード会員の属性情報及び利用情報を活用したメール広告です。「事実データ」を基にした広告手法であるため、サードパーティクッキー・ブラウザフィンガープリント規制強化の影響を受けることなく実施できます。SAISONターゲティング広告の詳細について詳しく知りたいという方はコチラをご確認ください。

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