サードパーティクッキー非推奨の動きが進められている今、今後新たな広告手法として注目されているのがコンテキストターゲティングです。この記事では、コンテキストターゲティングの基本的な概念やメリット・注目されている理由などをご紹介します。
コンテキストターゲティングとは?
コンテキストターゲティングとは
コンテキストターゲティングとは、Webページのキーワードやテキストの内容・画像などをAIが自動で解析し、ページの文脈(コンテキスト)沿った内容の広告を表示する施策を指します。コンテキストターゲティングによって配信される広告は、ユーザーが閲覧しているサイトのコンテンツとの関連性に基づいて配置されます。
コンテキストターゲティングによる広告配信の例
コンテキストターゲティングによる広告配信はこのように行われます。
・美容関連のサイトに化粧品の広告を入れる
・スポーツに関するブログにランニングシューズの広告を入れる
美容サイトを見ていて美意識が高まったところに化粧品の広告が入れば、興味関心が喚起されやすく ユーザーは「買ってみようかな」という気持ちになりやすいはずです。また、スポーツのブログを見ていて「私も体を動かしてみようかな」と思い始めたり、「もっと本格的に運動をしようかな」とモチベーションが高まったりしたところにランニングシューズの広告が出れば、「まずはランニングシューズを買って走ってみようかな」「今より少し良いランニングシューズを新調しようかな」と考える人は多いでしょう。
このようにコンテキストターゲティングでは、ユーザーが今見ているページと関連性の高い広告が配信されるため、サービスや製品の訴求力が高くなります。
コンテキストターゲティングが注目されている理由とは
コンテキストターゲティングが今注目を集めているのは、2020年に入ってからサードパーティクッキーの非推奨化が勧められているためです。
サードパーティークッキーとは
クッキーとは、Webサーバーとユーザーのブラウザの間でデータをやりとりする仕組みのこと。Webページにアクセスした履歴やログイン情報などをブラウザ側で保存・管理し、そのブラウザに応じた内容を表示させることができます。サードパーティクッキーは、クッキーの区分のひとつです。
サードパーティクッキーは、ターゲティング広告配信において盛んに活用されています。サードパーティクッキーを使用することで、ユーザーの訪問ページや検索履歴・購入履歴などをトラッキングし、ユーザーに関連性の高い広告を表示させられるようになります。
【サードパーティクッキーによる広告配信の例】
・ユーザーが「紅茶」のサイトを見ている
⇒ 別のWebページに移動した時に紅茶の広告が表示される
・ユーザーが「自社ECに訪問」
⇒ 移動先で自社ECを表示し離脱したユーザーを呼び戻す
・ユーザーが自社不動産商品を閲覧
⇒ 一定期間そのユーザーに自社商品の広告が表示されるように設定し認知を継続させる
サードパーティクッキーは、ユーザーの興味関心と親和性が高く、効果的な広告表示が可能です。
サードパーティクッキーにはさまざまな懸念点がある
サードパーティクッキーは、複数のサイトをまたいでブラウザの閲覧を追跡できるため、効率的な広告表示が可能です。しかし、インターネット上での行動がクッキーによってトラッキングされることで、「データ収集されているようで怖い」「プライバシーが守られているのか心配」などと感じている人は少なくありません。また、クッキーの情報が漏洩したり盗まれたりした場合のリスクも。第三者に勝手にログインされ、不正利用される恐れもあります。
2020年以降、サードパーティクッキー非推奨化の動き
こういったプライバシーやセキュリティに関する懸念を払拭するために、近年ではサードパーティクッキーの非推奨化が進められています。2020年1月14日には、Googleが「Google Chrome」におけるサードパーティーCookieのサポートを2022年までに段階的に廃止する方針を明らかにしました。同年2月にリリースした「Google Chrome 80」、3月にリリースした「Google Chrome 81」において、クッキーの扱いを変更。従来のようにWebサイトを横断してクッキーを利用できるようにするには、SameSite=None属性およびSecure属性をWebシステム側で個別に付与する必要があります。
コンテキストターゲティングのメリットとは
現在サードパーティクッキーに代わる広告配信手法として注目が高まっているコンテキストターゲティング。そのメリットを、サードパーティクッキーによるターゲティング広告と比較しながら見ていきましょう。
より関連性の高い広告を配信できる
コンテキストターゲティングの場合、ユーザーが目にする広告は閲覧しているWebページの内容と関連性が高くなります。例えば、健康メディアを見ているときにサプリメントの広告が表示されるので、リアルタイムでユーザーが「ほしい」と感じる製品サービスを訴求できます。
サードパーティクッキーもユーザーの興味・関心の高い広告を表示できますが、表示のされ方が異なります。 先にも例を挙げたように、「紅茶のサイトを見た後、他のページに移動した際に紅茶製品の広告が表示される」のがサードパーティクッキーによるリターゲティング広告。たしかにユーザーの興味関心とは合致しますが、ユーザーがその瞬間に欲しいと感じている製品やサービスを提案できるのかというと、そうとは言い切れません。みなさんの中にも、「今はもう全く違うページを見ているのに、いつまで紅茶の広告が表示されるんだ!」とズレを感じたことがある方は多いのではないでしょうか。その点、コンテキストターゲティングは、ユーザーの興味関心に対してタイムラグなく適切な広告を表示できます。
ユーザーのプライバシーが保護される
コンテキストターゲティングは、特定のユーザーをターゲティングするわけではなく、Webページのキーワードやトピック・テーマ・画像などコンテンツの文脈を読み取ってその内容に沿った広告を配信します。ユーザーのWebページ訪問履歴やログイン履歴などは関係ありません。クッキーによるトラッキングでのターゲティングとは異なり、ユーザーの匿名性・プライバシーが保たれやすいのが、コンテキストターゲティングのメリットと言えます。
ユーザーの「広告疲れ」を防ぎやすい
サードパーティクッキーによるターゲティング広告では、何度も同じ広告が出てきて広告疲れに陥りやすくなります。「紅茶のWebページをいくつか閲覧していたら、その後しばらく同じ紅茶の広告が表示され続ける」「ショッピングサイトで財布を買ったら、その後財布の広告が表示され続ける。もう財布は買ったから必要ないのに……」といった経験がある方は多いでしょう。
その点、コンテキストターゲティングでは関連性が高いページにのみ表示されるのでインプレッションは減少します。同じ広告を繰り返し目にすることが少ないので、広告疲れしにくいと言えます。
ブランドイメージを守ることができる
サードパーティクッキーによるプログラマティックな広告配信では、意図しない掲出先に広告が表示されていることに気づくことが出来ず、時にブランドイメージにそぐわない広告や不適切な広告が表示されてしまうことがあります。コンテキストターゲティングによって、このような広告配信を防ぐことができます。ブランドイメージを損なうリスクが軽減されるため、安心して広告を配信することができます。
また、近年はフェイクニュースやヘイトスピーチといった広告を見ているユーザーが持つイメージを低下させかねない広告も見受けられます。このような問題を解決してくれるのも、コンテキストターゲティングのメリットです。
サービスや商品と関連性の高いコンテンツに絞って広告配信をすることができるので、広告配信する企業側・広告を見ているユーザー側双方のブランドイメージを守りやすくなります。
まとめ
サードパーティクッキーに依存しない新たな広告配信手法、コンテキストターゲティング。ユーザーのプライバシー保護・セキュリティ保護をはじめ、ブランドイメージを守るためにも有効な手段と言えます。サードパーティクッキーの非推奨化が進む今、新たなデジタル広告戦略を策定していくにあたって、コンテキストターゲティングはマーケティングの鍵となっていくのではないでしょうか。
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