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サードパーティクッキーの非推奨化とは?サードパーティクッキー廃止の理由と今後求められる課題【マーケティングコラム】

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最近話題になっている、サードパーティクッキーの非推奨化。サードパーティクッキーの非推奨化によって、ネットの世界はどう変わるのでしょうか?この記事では、そもそも「クッキー(cookie)とは何か」というところから、サードパティークッキーの非推奨化の理由、起こりうる影響や今後求められる課題などについてご紹介します。

 

そもそもクッキー(cookie)とは?クッキー(cookie)の役割


サードパーティクッキー非推奨化について解説する前に、まずは「クッキー(cookie)とはそもそも何なのか」についてご説明します。

●クッキー(cookie)とは クッキー(cookie)とは、Webサーバーとユーザーが使用しているブラウザの間でデータをやりとりする仕組みの1つです。ブラウザ側で情報を継続的に管理できるようにするために情報を保存する機能で、特定のページを訪問した履歴やログイン情報などが該当します。つまり、クッキー(cookie)によってブラウザ側で情報を保存することで、そのブラウザに応じた内容を表示できるようになるというわけです。  



クッキー(cookie)の役割とは

クッキー(cookie)はユーザー情報をマーケティングに活用するのに欠かせない技術です。同時に、クッキー(cookie)は、ユーザーのWebサイト利用の利便性を高める側面もあります

ユーザーがWebサイトにアクセスするとき、まずWebサーバーからブラウザにクッキー(cookie)が送られ保存されます。すると、次回同じサイトにアクセスした際に、ブラウザ上のクッキー(cookie)がサーバーに送られ、サーバー上のユーザー情報と照らし合わせて紐付けできるようになります。
みなさんもWebサイト閲覧時に以下のような経験をしたことがあるのではないでしょうか。

例 ・Webサイトで「カーテン」を見ていてその後別のサイトに移動したら、カーテンの広告が表示された
・Webサイトで「化粧水の使用方法」を調べていてその後別のサイトに移動したら、化粧水の広告が表示された

このような仕組みを「リターゲティング広告」といいます。リターゲティング広告表示が可能なのは、ユーザーの挙動がクッキー(cookie)で追跡されており、広告を配信しているサーバーがそのクッキー(cookie)を利用することでユーザーを特定しているからです。また、ログインが必要なサイトやサービスを利用するとき、IDやパスワードの入力なしにページが表示された経験はありませんか?これもクッキー(cookie)の機能のひとつです。

なお「ログインフォームにIDとパスワードが表示されている」のは、クッキー(cookie)ではなく「オートコンプリート」という機能によるものです。よく似た機能ですが、こちらはクッキー(cookie)によるものではないので覚えておきましょう。

 

クッキー(cookie)にはファーストパーティとサードパーティの区分がある


クッキー(cookie)は、ユーザーがアクセスしているWebページのドメイン名に紐付けられており、紐付けられているドメイン名によってファーストパーティクッキー・サードパーティクッキー等に分類されています。

 

ファーストパーティクッキーとは

ユーザーがアクセスしているページのドメインが発行しているクッキー(cookie)のことを「ファーストパーティクッキー」と呼びます。ユーザーにブロックされにくいので、トラッキングや効果測定の精度が高いというメリットあります。

 

サードパーティクッキーとは

ユーザーがアクセスしているページのドメイン以外から発行されているクッキー(cookie)のことを「サードパーティクッキー」と呼びます。サードパーティクッキーでは、ドメインをまたいでブラウザ側に保存された情報を活用することが可能です。サードパーティクッキーは、シングルサインオンや広告におけるターゲティング・ウェブ解析のためのトラッキングなどに用いられています

 

2020年以降、サードパーティクッキーの非推奨化の動きが進む


このようにWebマーケティングにおいて重要な役割を果たしてきたサードパーティクッキーですが、2020年以降非推奨化の動きが進んでいます。

 

Googleの方針

Googleは、2020年1月14日に、「Google Chrome」におけるサードパーティクッキーのサポートを2022年までに段階的に廃止する方針を明らかにしました。同年2月には「Google Chrome 80」、3月には「Google Chrome 81」をリリースし、Cookieの扱いを見直しています。

 

「Google Chrome 80」以降の変更内容

2020年2月にリリースした「Google Chrome 80」以降、従来のようにWebサイトを横断してクッキー(cookie)を利用できるようにするには、SameSite=None属性およびSecure属性をWebシステム側で個別に付与しなければなりません。 この変更にともなって、従来の埋め込みタグの更新やサイト全体の暗号化通信対応などの対策が必要に。そのままにしていると、アクセス解析やソーシャルプラグインの動作などに支障をきたす可能性があります。

 

サードパーティクッキーの非推奨化の理由


サードパーティクッキー非推奨化が進められるようになったのには、以下のような理由と背景があります。

 

プライバシーの問題

サードパーティクッキーは複数のサイトをまたいでブラウザの閲覧を追跡できるため、効率的な広告表示が可能です。一方で、オンラインでの行動が追跡され、データ収集されていると感じている人が多いのも事実。そうしたプライバシーへの懸念を払拭するために、2018年5月にはヨーロッパで、「EU一般データ保護規則(GDPR)」が施工され、クッキー(cookie)の他、類似技術の規制が強化されはじめました。2020年1月には、「アメリカでカリフォルニア州消費者プライバシー法(CCPA)」が施工され、クッキー(cookie)規制がさらに本格化しています。サードパーティ非推奨化の流れは、今後さらに進んでいくことが予想されます。

 

セキュリティの問題

クッキー(cookie)の利便性の理由は、クッキー(cookie)にさまざまな情報が記録されるからです。しかしその弊害として、クッキー(cookie)の情報が漏洩したり盗まれたりした場合のリスクも生じ得ます。例えば、第三者に勝手にログインされ、不正利用される恐れが考えられます。

 

サードパーティクッキー非推奨化により、今後求められる課題

 

サードパーティクッキーの非推奨化によってできなくなるかもしれないこと

・シングルサインオン機能を有効にできなくなる
シングルサインオン機能とは、ひとつのID・パスワードで複数のWebサービスにログインできる機能です。サードパーティクッキーが非推奨となることで、シングルサインオン機能を有効にできなくなります。複数のWebサイト・SNS・クラウドサービスなどを同じアカウントで利用しているユーザーにとっては不便を感じるかもしれません。

・関連性の高い広告表示がむずかしくなる
前述したように、サードパーティクッキーを利用することで、ユーザーのWeb上での行動をトラッキングしてユーザーが興味・関心を持っているであろう広告を効率的に表示できていましたが、サードパーティクッキーが廃止されることで、関連性の高い広告表示が難しくなります。

 

サードパーティクッキーによるトラッキングにかわる技術

こうしたサードパーティクッキーの非推奨化によっておこりうる弊害を払拭するために、新しい技術が注目されつつあります。現在サードパーティクッキーに代わる技術として大きな注目を集めているのが、このあとに紹介する「コンテキストターゲティング」と「事実データ」による広告配信です。

・コンテキストターゲティングとは
コンテキストターゲティングとは、最も適切なコンテキストに広告を表示する施策です。サードパーティクッキーを利用したターゲティング広告では、訪問ページや検索履歴・購入履歴などをトラッキングしてユーザーに関連性の高い広告を表示していました。一方、コンテキストターゲティングによる広告は、ユーザーが閲覧しているサイトのコンテンツとの関連性に基づいて配置されます

例 ・ファッションサイトに化粧品の広告を入れる ・スポーツに関するブログにランニングシューズの広告を入れる
コンテキストターゲティングを使用すると、ユーザーが目にする広告は常に閲覧している内容と関連性が高くなります。その瞬間にユーザーが興味・関心を持っている内容が表示されるため、アイテムの訴求がしやすく、購買率も向上すると期待できます。また、トラッキングによるターゲティングとは異なり、ユーザーの匿名性・プライバシーが保たれるのも、コンテキストターゲティングのメリットだと言えるでしょう。

・事実データとは
事実データとは、自社に蓄積した顧客データなど「ユーザーの同意のもと、ユーザーが自身で入力・告知した情報やユーザーの購入履歴」のこと。トラッキングによるデータ収集ができなくなると、このような「事実に基づいたデータの有効活用」が広告配信やマーケティング戦略を考える上で重要になっていきます。

事実データのメリットは、憶測や推測に頼る部分のない精度の高い情報であること。上手く活用することでユーザーの行動や興味関心が明確になり、広告配信の精度を高めることができます。そのためには、自社ユーザーから得られる事実データをどのようにして収集するのか、またそれをどのように分類・管理して活用するのかを考えることです。

サードパーティクッキー非推奨化を前に、各企業は「事実データの有効活用」について準備を始めておく必要があるでしょう。

 

まとめ

Googleを始め、各社で進められているサードパーティクッキー非推奨化の動き。この動きにともなって今後インターネットの世界では、ターゲティング広告の機能を維持しつつもプライバシー保護・セキュリティ保護に配慮したルール整備が必要になっていくでしょう。

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