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ニューノーマル時代のマーケティング。変化する消費行動・価値観に対応するためのアプローチ【マーケティングコラム】

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新型コロナウイルスの感染拡大によって、世界はニューノーマルと呼ばれる新しい行動様式や消費行動を持つ時代へと切り替わりました。行動様式・消費行動が大きく変化したことで、従来のマーケティング戦略が通用しなくなり、多くの企業がマーケティング戦略の見直しを迫られています。では、ニューノーマル時代のマーケティングではどのようなことを意識すべきなのでしょうか?この記事では、ニューノーマル時代のマーケティングを巡る変化や今後のトレンドについてご紹介します。

 

ニューノーマルと社会・経済の大転換によって生まれる新しいモノ・コト


まずは「ニューノーマル」という概念や、ニューノーマルに関連する「ビフォーコロナ・ウィズコロナ・アフターコロナ」という言葉や「デファクトスタンダード」について解説します。

 

ニューノーマルとは「新しい常態」のこと

ニューノーマルとは直訳すると「新しい常態」という意味になります。大きな事件や災害が発生した後、社会や経済に避けられない変化が起こり、新しい常識や状況が生まれると「ニューノーマル」と呼ばれます。今ではすっかり市民権を得た言葉ですが、実はこの言葉が使われるようになったのは、2008年に発生した「リーマンショック」からでした。

リーマンショックに端を発する世界的な経済恐慌の後、世界経済はもう元には戻らないという見方が広がりました。このような「未知の状況」を表す言葉として「ニューノーマル」が使われるようになり、以後世界的な大きな災害や事故の後に頻繁に使用されています。

 

ビフォーコロナ・ウィズコロナ・アフターコロナとは?

現在(2021年)使われている二ューノーマルは、世界的な新型コロナウイルスの蔓延によって起こった社会・経済の大きな変化と、その変化によって発生した新しい常識を指しています。新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに、人の接触や移動を控える暮らし方・働き方が求められるようになりました。

新型コロナウイルスの感染拡大を境に、以前の社会や経済のあり方を指す「ビフォーコロナ」、感染の拡大が進行中の社会や経済のあり方を指す「ウィズコロナ」、感染拡大後の新しい社会や経済のあり方を指す「アフターコロナ」という言葉が使われるようになりました。ニューノーマルは、新型コロナウイルスの感染拡大後の世界「ウィズコロナ・アフターコロナの世界の新しい常識や状況を指す言葉」と理解できるでしょう。

 

新しい標準「デファクトスタンダード」とは

デファクトスタンダードとは、直訳すると「事実上の標準」という意味になります。新しい標準になった商品やサービスを指す際に利用されることが多く、例えばWindows OSがデファクトスタンダードとなった商品として有名です。Windows OSは、多くのパソコンに搭載されており、パソコンOSの「新しい標準」となったと言えます。

新型コロナウイルスの感染拡大に伴う社会・経済の変化によって、暮らし方・働き方が大転換している現在、デファクトスタンダードとなる新しいコト・モノがさまざまな分野で生まれると言われています。

 

ニューノーマルによって変化する消費行動


新型コロナウイルスの感染拡大に伴って消費行動が大きく変化しています。ニューノーマル時代では、暮らし方や価値観の変化に伴って、消費行動が大きく転換しつつあります。具体的には以下の点が挙げられます。

 

【ニューノーマル時代の消費行動の変化】
・外出自粛に伴い、ECサイトの利用が増加。消費のメインがリアルからデジタルへ ・人との接触が減りSNSの利用時間が増加。サービスや商品を認知する場所がSNSなどのデジタルに
・顧客との新しい接点として、ビデオ通話アプリを利用したデジタル接客が活性
・嗜好品(アパレル・ジュエリー・腕時計など)の消費が減り、ヘルスケア・衛生関連商品の消費が高まる
・経済の先行き不安によって、節約志向が増加。コストパフォーマンスを重視する
・機能的価値・情緒的価値よりも社会的な価値(サステナビリティなど)を重視した消費に
・キャッシュレス決済の普及

 

上記のように、ニューノーマル時代では消費行動に大きな変化が訪れています。消費行動の変化によって従来のマーケティング戦略が機能しなくなる可能性が高く、各企業はニューノーマル時代の消費行動に沿ったマーケティングへの見直しを迫られています。

 

消費行動の変化と企業に求められるニューノーマル時代のマーケティング


では、ニューノーマル時代の消費行動に対して、どのようなマーケティング戦略が求められているのでしょうか?ここでは、ニューノーマル時代の集客やマーケティング手法について解説します。

 

モノ・コトに出会い・購入する場所はデジタルに

ニューノーマル時代のマーケティングにおいて、最も意識しなければならないのがマーケティングのデジタルシフトです。上述した「ECサイトの利用増加」「商品・サービスをSNSで認知する機会が増える」ことなどから、集客の主戦場はデジタルに移行したと考えられます。

マーケティングのデジタル化(デジタルマーケティング)とは、デジタルメディアやデジタルツールを活用した顧客分析・宣伝手法を指します。具体的な手法としては、Webサイトの構築・Web広告・SNS広告・SEO(検索エンジン最適化)対策・メールマーケティングなど多岐にわたります。他にも、購入履歴などの事実データから購買層をターゲティングする手法などもあります。

もともと、あらゆる企業がマーケティングのデジタル化を推進していましたが、新型コロナウイルスの感染拡大によってその重要性がさらに加速したと言えるでしょう。デジタル化を前提としたマーケティング戦略の立案と実施が、ニューノーマル時代の消費行動に対応するための打ち手となるでしょう。

 

ECも新形態が続々登場

人との接触が減少するニューノーマル時代において、物理的な人との接触が発生しないECはさらに成長すると予想されています。そこで注目を集めているのが、「BOPIS(ボピス)」や「デジタル接客」と呼ばれる新しい形態です。

・BOPIS(ボピス)とは?
BOPISとは「Buy Online Pick-up In Store」の頭文字を取った略称です。ECで購入した商品を店舗で受け取る販売形態のことで、消費者・店舗双方にメリットがあるとされています。

 

【消費者にとってのメリット】
・送料が発生しない
・営業時間中の都合の良い時間に商品が受け取れる
・店舗への滞在時間(感染するリスク)を減らせる
・交換や返品などのやり取りが通販よりもスムーズ

【店舗にとってのメリット】
・来店による感染リスクを減らせる
・店舗でのコミュニケーションが必要最低限で済む

 

BOPISは、実店舗での買物とECでの買物の良いとこ取りで、アメリカや中国では導入する企業が増えています。今後日本での導入も増加すると見込まれています。

・デジタル接客
アパレル業界を中心に増加しているのがデジタル接客の活用です。ECサイトでの買物の難点は、サイズ・コーディネートなどに関して販売員に質問できないという部分でした。その課題を解消するのがデジタル接客です。デジタル接客のメリットは、販売員に悩みを直接相談できること。ビデオ通話アプリ越しに販売員とコミュニケーションが取れるため、商品の気になる部分を確認しながら買い物が進められます。
デジタル接客は、実店舗での買物(コミュニケーション・実物の確認)とECサイト(場所を選ばずに買い物ができる)の利点を活かせる販売形態で、ニューノーマル時代の消費モデルのひとつとして導入企業の増加が見込まれています。

ニューノーマル時代に突入し、消費行動が大きく変化したことで、商品やサービスを販売する事業者はマーケティングのデジタル化・新しいEC形態へのシフトを求められていると言えます。

 

ニューノーマル時代のマーケティングで意識すべきポイント


ニューノーマル時代の主流となるデジタルマーケティング。その中でもデジタル化によって蓄積したデータ活用によるアプローチは今後も成長していくと見込まれています。また、今後はデータ活用の規制が強化される方向性に進んでおり、ニューノーマル時代のマーケティングでは以下のようなポイントを抑える必要があります。

 

消費者の「行動データのマーケティング活用」と強化される「個人情報保護法」

クレジットカードの普及やデジタル化によって、消費者の行動データを蓄積できる企業が増えてきました。蓄積したデータを活用することで、商品・サービスの見込み顧客の選定・判別が可能になり、より購買に近い消費者にアプローチができます。

データを活用したデジタルマーケティングは、今後も成長が見込まれていますが、注意しなければならないのは「個人情報保護の強化」です。オンラインでの消費者の行動データは、クッキー(cookie)と呼ばれる機能によって得られていましたが、AppleやGoogleといったプラットフォーマーが、クッキー(cookie)の利活用を制限する方向で動いています。日本でも公正取引委員会が消費者の行動データの活用に制限をかける方向で進んでおり、今後はデータ活用のあり方が問われる時代になると考えられます。

 

データの有効活用と個人情報保護を両立するマーケティングを

データのマーケティング活用は、デジタル化が加速するニューノーマル時代において、より重要度を増しています。そして個人情報保護への意識も同様に高まっており、対策が必要となっています。データの有効活用と個人情報保護を両軸で進めるには、以下の3つの視点を抑える必要があります。

・顧客に寄り添うデジタル化推進について
デジタル化の推進は「顧客を意識したホスピタリティやサービスを前提として進めるのが望ましい」とされています。例えば、消費のキーワードになりつつあるサスティナビリティ(自然や労働者の搾取を良しとせず、持続可能な生活や消費を意識する考え方)やグリーンリビング(高級品の消費よりも健康や財産保護を重視し、ローカルや環境への配慮を意識した考え方)などが、今後は顧客の考え方や消費の在り方に大きな影響を与えると予想されています。このような消費の根底にある考え方に反したデジタル化は、失敗に終わる恐れがあります。デジタル化推進を実施する際には、まず「自社の顧客が求めるものは何か」を理解し、それに寄り添ったデジタル化の推進が望ましいと言えます。

データクリーンルームの有効活用について
個人情報保護の強化によって、今後は顧客が自身のオンライン上の行動データを提供するか否かを選択できる時代になるとされています。デジタルマーケティングの推進に行動データの取得は必要不可欠ですが、データの非公開を選定するユーザーが増加すると見込まれます。そこで重要なのがデータクリーンルームの活用です。データクリーンルームとはApple・Googleなどの大手のプラットフォーマーが企業向けに提供するサービスです。データクリーンルームを利用することで、個人が特定できない状態でユーザーの行動データを蓄積・保管することができ、個人情報を侵害することなくマーケティングに有効活用できます。個人情報保護の強化によって得られるデータが制限されていく中、効果的なマーケティングを実施するためには、このような新しいサービスの利用が必要になっていくでしょう。

・サードパーティクッキーに頼らない施策について

個人情報保護の観点から今後規制が強化される「サードパーティクッキー」は、従来のデジタル広告を実施するのに必要不可欠な機能でした。従来の手法に制限がかかるニューノーマル時代において、企業が生き残っていくには新しい視点の広告やマーケティングの実施が求められます。例えば「コンテキストターゲティングや事実データの有効活用」は、広告やマーケティングの新しい手法としてすでに注目を集めています。個人情報保護を意識しつつ、企業としての成長を遂げるにはいち早くこのような新しい手法を取り入れる必要があるでしょう。

ニューノーマル時代のマーケティングでは、デジタル化・データの有効活用と合わせて、個人情報保護や顧客視点の強化がより重要になると考えられています。ニューノーマル時代のマーケティング戦略では、セキュリティやホスピタリティを折り込んだ戦略が必要になると言えるでしょう。

 

ニューノーマル時代のマーケティングでは顧客視点の強化を

デジタル化によって顧客との物理的な距離が離れる分、「何が顧客にとっての価値なのか?」「デジタル化による顧客にとってのメリットとは何か?」といった点を今まで以上に強化していきましょう。

Webが主戦場となる場合、ポジティブな印象を一気に拡散することが出来るようになった一方で、同じようにネガティブな印象も拡散されやすくなっていることを十分心掛けなければなりません。また、「データ活用と個人情報保護」の項目で触れたように、ニューノーマル時代のマーケティング戦略では、セキュリティやホスピタリティを折り込んだ戦略設計を意識しましょう。

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