政府がキャッシュレス決済を推進している影響で、カード決済を利用する人が増えています。2019年の株式会社ジェー・シー・ビーの調査(※)によると、日本国内のクレジットカード保有率は85%、さらに電子マネーの保有率は84.2%を突破し、キャッシュレスでの決済が主流になっています。
※参照:JCB、「クレジットカードに関する総合調査」2019年度の調査結果を発表 | JCB グローバルサイト(https://www.global.jcb/ja/press/20200226105311.html)
これまで現金で決済していた顧客がキャッシュレス決済に移行することで、新たに得られるのが決済データです。
十分な量の決済データが集まることで、消費者行動の分析に活用できるでしょう。ここではマーケティング担当者向けに決済データを活用したマーケティング手法について解説していきます。
日本に浸透しつつあるキャッシュレス決済
日本ではこれまで現金での決済を利用する人が大半でしたが、最近はクレジットカードの利用率が増加し、キャッシュレス決済が浸透しつつあります。では、その背景と主なキャッシュレス決済の種類について見ていきましょう。
政府が推進するキャッシュレス化への取り組み
経済産業省の「キャッシュレスの現状および意義」によると2016年時点での日本のキャッシュレス決済比率は約20%にとどまっていました。主要各国は40~60%程度なので、それと比べるとかなり低めの割合でした。
そこで政府は、キャッシュレス決済比率を高めるためにさまざまな取り組みを開始しました。そのひとつが、2019年10月の消費税増税にともなう、キャッシュレス決済時のポイント還元です。
これはキャッシュレス決済での商品購入に対して、最大5%のポイント還元が行われるという事業です。消費税の増税分よりも多くのポイントが付与されるということで、消費の落ち込みを抑える狙いもありました。
キャッシュレス検討会では「キャッシュレス・ビジョン」を策定しました。これは将来的にはキャッシュレス決済比率80%を目指すという内容です。
また、具体的な時期を盛り込んだ目標としては、「成長戦略フォローアップ」を策定しました。これは2025年6月までにキャッシュレス率4割程度に向けた目標です。
参照:「キャッシュレスの現状及び意義」(経済産業省)
(https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/cashless/image_pdf_movie/about_cashless.pdf)
主なキャッシュレス決済の4種類
キャッシュレス決済は主に次の4種類です。
・クレジットカード
・デビットカード
・電子マネー
・モバイルウォレット
このうち現在もっとも多く利用されているのはクレジットカードです。後払いで与信審査に通った人にのみ発行されます。
参照:「キャッシュレスの現状及び意義」(経済産業省)(https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/cashless/image_pdf_movie/about_cashless.pdf)
デビットカードは、使い方はクレジットカードとほとんど同じですが、銀行口座から即時払いなのが特徴です。
Suicaや楽天Edyのような電子マネーは、前払いであらかじめチャージした範囲内で利用できるのが特徴です。
モバイルウォレットは、主にQRコード決済などを指します。例えば、PayPayやLINEPAYのような決済手段です。ほかの決済方法と紐付けして利用するのが特徴です。そのため、前払いの場合も後払いの場合もあります。
クレジットカードから得られるデータは属性情報と取引情報の2種類
クレジットカードによって得られる情報は属性情報と取引情報のふたつに分けられます。
属性情報
属性情報というのは氏名や住所、性別、生年月日といった個人を識別するための情報のことを指します。顧客がクレジットカードの申込みをする際に、カード会社に申告している情報です。
また、クレジットカードは発行の際に審査が必要になるため、職業や年収額などの情報も記載されています。このような情報は一般的な企業が把握することは難しく、クレジットカード会社によって保存されています。
取引情報
取引情報というのは取引の日時や金額、店舗名、業種コードなどのことです。これらの情報は、クレジットカード加盟店であれば通常の企業でも把握することができます。
顧客がクレジットカードを何度も繰り返し利用することで、取引情報から一定の傾向が見えてくることもあります。
マーケティングにおける決済データ活用の可能性
決済データを把握することで、集客において効率的なプロモーションが実現できます。どんな層の人がどんな消費活動をしているのか把握できるため、それに合わせてアプローチ方法・訴求内容を決められるでしょう。データを反映して、売り場改善や商品開発をすることも出来るかもしれません。
もちろん、データ活用の際はきちんとユーザーの同意を取らなければなりません。そのためには、ユーザーメリットを創出することが何より重要で、それを伝えていくことも大切です。データを活用させてもらう代わりに、ユーザーが求めている情報を、適切なタイミングで提供させていただくこと、この理念を軸に行うべきです。
決済データを活用したふたつのマーケティング手法
決済データを活用した主なマーケティング手法は次の3つです。
ターゲティングバナー
ターゲティングバナーはユーザーの行動履歴・閲覧履歴から、配信先のユーザーをセグメントしているバナー広告配信手法のことを指します。ユーザー情報をもとにターゲティングしているので、ユーザーにとっては興味のない広告が減り、ミスマッチを防ぎます。その結果、バナーのクリック率率向上が見込め、バナーのリンク先への訪問数アップや商品購入などのコンバージョンが期待できます。
また、ターゲティングバナーには、ユーザーのスマートフォン・PCによる個体別の広告識別子(ユーザーの閲覧履歴から発行される、広告表示するための識別番号)が使われるケースが多いです。
ダイレクトメール(DM)
ダイレクトメールは、顧客に対して、ハガキや封書などを送付するマーケティング手法です。クレディセゾンの場合は、カード情報を利用して、特定の年収額や年代の人に絞ってアプローチをすることができます。家族構成などによって内容をわけることも可能です。
他にもカタログや申込書などを送付することもできるので、情報量の多い商品やサービスを紹介する際に利用しましょう。
ターゲティングメール
ターゲティングメールも、年収額や年代などを絞ってアプローチできる手法ですが、メールを送信するという形で行います。一斉配信とは異なり、対象とする属性の顧客にだけ送信されます。
決済データを利用して関心を引きやすい層をセグメントし、きちんとターゲティングするので、効率的なアプローチができます。また、セグメントを行わないメール配信よりも、工夫次第で開封率が高くなります。
ターゲティングメールの成功TIPSは、こちらの記事でも詳しくご紹介しています。
クレディセゾンのターゲティングメールでは、メールの開封率やクリック数の計測ができる仕様です。さらに、次回以降ターゲティングメールを配信する際に、開封率やクリック数などのデータを活用して施策をブラッシュアップすることもできます。
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まとめ
キャッシュレス決済が浸透することで、これまで以上に顧客データを得られるようになり、マーケティングに活用しやすくなります。やみくもに顧客データを使ってアプローチ出来るようになるというわけではなく、ユーザーメリットをきちんと明確にして同意を取った上で、最適な情報を届けるためのデータ活用です。
日本においても、将来的にはキャッシュレス決済が主要な決済方法となる日が来るかもしれません。それに伴って決済データを活用したマーケティング手法も広まっていくと予測されます。自社に合った活用方法を、検討してみてはいかがでしょうか。