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バリューチェーン分析とは?分析方法から活用事例まで徹底解説【マーケティングコラム】

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マーケティングフレームワークは数多くあり、名前を聞いたことはあるけれど内容まではよくわからないという方も多いのではないでしょうか。この記事では、マーケティングフレームワークのひとつであるバリューチェーン分析について解説します。この記事を読むことで、バリューチェーン分析を理解し、自社発展の参考にしてください。

 

バリューチェーン分析とは?

バリューチェーン分析とは、グローバル化し活動領域が多角化する企業と、インターネットの発達で世界中の情報に触れることができる社会の変化の中で必要性を増している概念といえます。

 

バリューチェーンとは、日本語にすると「価値の連鎖」です。ここでいう価値とは、企業活動の価値であり、企業が各工程・段階で行う活動の価値を示します。つまり、価値を生み出す工程・流れと価値の中身を分析するのがバリューチェーン分析です。

バリューチェーン分析で考える企業の活動は、製造や販売など商品やサービスを生み出して顧客に届けるまでを実行する主活動と、間接部門である総務や人事、また開発部門などが行う支援活動の2種類です。

それぞれが各工程で価値を増やすものですが、企業によってバリューチェーンの内容は異なります。たとえば、パーツ製造だけを行う企業や販売専門の企業、製造からアフターサービスまでワンストップで行う企業もあるためです。

バリューチェーン分析の目的

バリューチェーン分析は、世界中の企業が競合相手となり得る世の中にあって、生き残り勝ち抜くことを目的として行われています。具体的には、以下に示す3つの目的・メリットを得るためです。


コストを削減する

バリューチェーン分析によって、価値を生み出している工程とそうではない工程が明確になります。理想的な直接的価値と付加価値を生み出す体制であれば問題ないものの、そうなっていない場合にはリソースを効果的に再配分し、無駄なコストのカットにつながります。

 

限りある人・モノ・金はもちろんのこと、組織として積み上げてきた経験と知識を含めた経営資源を効率よく使える点が重要です。

差別化を推進する

競争相手が世界中に存在する時代となって、価格競争だけをしていれば勝てる社会ではなくなっています。他社との差別化を推進することも、バリューチェーン分析の大きな目的のひとつです。

効果的な差別化を図るためには、自社が商圏とする範囲における消費者ニーズと市場の動向、競合各社の現状を把握することが前提条件となります。そのうえで、相手の今後の動きを予測することが必要です。このとき、自社の強みと弱みを正確に分析できていれば、差別化に向けた動きが円滑になります。

強みを活かす

自社の強みと弱みを知ることは、競合他社との差別化を図ることに加え、自社の強みにフォーカスした事業展開につながる重要なポイントです。

 

競合相手がいなかったとしても、強みを活かして顧客ニーズにマッチした施策やイベントなどを推進することで、さらなる成長を望めます。また、競合相手が出現したときのアドバンテージを最大化することも可能です。

 

バリューチェーン分析の方法

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バリューチェーン分析の方法は、4つのステップからなっています。


・自社のバリューチェーンの理解
・各活動にかかるコストの把握
・自社バリューチェーンの特徴(強み・弱み)の把握
・VRIOによる強みの分析

それぞれのステップについて以下で解説します。


自社のバリューチェーンの理解

まず、自社のバリューチェーンの構造を理解することからスタートします。自社における主活動と支援活動にはどのようなものがあるのかを把握することです。ここがわかっていないと先に進めません。

小売業を例にバリューチェーンを洗い出してみましょう。


・商品選定
・商品仕入
・店舗運営など販売体制の構築
・集客
・商品販売
・アフターサービス

上記は主活動に該当するものですが、商品仕入には経理業務が、店舗運営には人事や総務が、集客には広告宣伝が関係しているように、支援活動も含まれています。支援活動についても最大漏らさず把握することが重要です。


各活動にかかるコストの把握

次に、各工程の活動にかかるコストを把握します。この作業は、数字で確認できるため洗い出すこと自体は容易です。収益性を検討するなど、それぞれが適切な数値かを見極めることで、リソースの再配分とコスト削減につながります。

注意したいのは、各工程にかかわっている部署がひとつとは限らない点です。複数の部署が単独で活動する場合はそれぞれのコストを拾えばすみますが、複数の部署がかかわっている場合は合計額を使用します。また、ひとつの部署が複数の工程を担当する場合の集計方法は按分です。エクセルなどの表計算ツールを使って集計すれば、役立つデータとなります。


自社バリューチェーンの特徴(強み・弱み)の把握

3ステップ目は自社のバリューチェーンが持つ強みと弱みの分析です。前2つのステップでは、活動や数字といった社内の誰が見ても間違う可能性の低い分析を行いました。しかし、強みと弱みについては主観が入り込む可能性が高いことや、特定の担当者しか知らない情報があることを踏まえて、より多くの人の意見を募る必要があります。

また、自社バリューチェーンの強みと弱みを分析するうえで、競合他社との比較が欠かせません。この点からも、全社員を対象としたアンケートの実施や情報提供の呼びかけが効果的です。情報は意外なところに眠っていることがあります。比較検討のためには、一覧表にするとよいでしょう。

VRIOによる強みの分析

最後のステップはVRIO分析です。VRIOとは、以下の単語の頭文字をとったもので、それぞれの要素は自社の強みの把握に役立ちます。VRIOはヴェリオと呼びます。


・Value(価値)
経営上の目標を達成するために価値(Value)がある強みか


・Rareness(希少性)
他社にはない希少性(Rarenessness)を持った強みか


・Imitability(模倣性)
競合相手が模倣(Imitability)しやすいものではないか

 

・Organization(組織)
強みを活かすための組織(Organization)が構築できているか

VRIO分析を効率よく進めるには、項目ごとの優劣を数値や記号で記入できるシートを作成することです。各社員が個別に記入したシートを集計すれば、自社の全体像が見えてきます。

バリューチェーン分析の事例

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最後に、バリューチェーン分析の具体例を解説します。ある飲食産業の事例です。

この事業者のバリューチェーンは以下のようになっています。


・原料の選定
・原料の仕入
・原料の加工
・各店舗への原料の配送
・メニューの開発
・店舗運営
・販売などの顧客対応

この事業者では、原料の選定に強みを持っています。他社よりも高い価格で買い付けることにより、原料の品質で差別化を図っているのです。さらに、店舗運営と販売、顧客対応にも経営資源を集中させ、顧客満足度のアップを実現しています。

顧客の側から見た場合、清潔な店舗とステータスを感じさせるアイテム、高品質なサービスが受けられるなどが強みです。同業他店ではなく、この店で過ごす時間が生活の中で意義のある時間と感じ、ステータスとなることでメニュー単価は他社と比較して高いものの、顧客にとってのメリットとなっています。

 

まとめ

消費者の選択肢が広がっている今日、競合に勝ち、事業の内容を拡大するためにはバリューチェーン分析が欠かせません。自社のバリューチェーンはどうなっているのか、コストは適正か、他社との差別化はできているか、強みは活かせているかなど分析すべき事柄は多岐にわたります。そこには、マーケティングのノウハウが必要です。

 

30年以上にわたるクレジット事業など、消費活性化に資する事業を展開するクレディセゾンのマーケティングソリューションなら、業種を問わず課題解決に役立ちます。一度、利用を検討されてみてはいかがでしょうか。

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