マーケティングや人事・組織開発を担当していて、エンゲージメントという言葉を聞いたことはあっても、よく知らないという方も多いのではないでしょうか。
この記事ではそのような方に向けて、基本的な「エンゲージメントとはなにか」から、「エンゲージメントを高める方法」まで合わせて解説していきます。人事やマーケティングの質を向上させたい方はぜひ記事を読んでエンゲージメントを高める方法を実践して、各分野での成果に繋げてください。
エンゲージメントとは?
エンゲージメントとは、顧客が会社または商品ブランドに愛着を持っている状態を表すビジネス用語です。直訳だと「婚約」や「約束」という意味になります。
しかし、エンゲージメントは、今ではビジネスにおいて人事でもマーケティングでも使われています。本記事ではエンゲージメントの基本から、エンゲージメントを高める方法や、実際の事例などを踏まえて紹介していきます。
マーケティングにおけるエンゲージメントとは?
近年ではSNSを使ったマーケティング方法が需要を高めています。性別や年齢を問わず一般的に幅広く普及しているSNSでは、企業のアカウントと交流を楽しむ顧客も多く見られます。
気軽に交流できるSNSだからこそ、企業と顧客との繋がりを生み出しやすく、エンゲージメントを高める環境が作りやすくなっています。TwitterやFacebookを使ってエンゲージメントを高めていくのはマーケティングの手法のひとつです。
エンゲージメントが高ければ高いほど、顧客は企業や商品ブランドに愛着を持ち、「家電はこの商品ブランドが好き」などこだわりを持つようになります。
エンゲージメント率の確認方法
エンゲージメント率とは、SNSの投稿にどれだけの反応が返ってきたかを測る指標です。SNSごとに確認する方法は異なりますのでひとつずつ解説していきます。
Twitterのエンゲージメント率
Twitterでエンゲージメント率を調べるには、エンゲージメント数(投稿へのクリック、リツイート、いいね、返信、フォロー)をインプレッション(投稿が見られた数)で割って計算します。
数値を確認するには、プロフィール設定画面からアナリティクスを選択します。アナリティクスのツイートを更に選択すると、投稿のインプレッションとエンゲージメント数を確認できます。
Facebookのエンゲージメント率
Facebookでは、投稿にいいね!、コメント、シェア、クリックなどのアクションをした数を、タイムラインの投稿を見た人数で割って計算します。数値を確認するには、Facebookのインサイトから「投稿のエンゲージメント」を選択すると確認できます。
Instagramのエンゲージメント率
Instagramでは、投稿毎のいいね!とコメントの数を、フォロワー数で割って計算します。また、ビジネスプロフィール設定にすると、投稿ごとの数値をインサイトから確認できるようになります。
エンゲージメント率を高める方法
では、実際にエンゲージメント率を高めるためにはどうすればいいのかを解説していきます。
適切な顧客を設定する
どんな顧客をターゲットにしているのか、現在獲得しているフォロワーはどういう顧客なのかを把握しておく必要があります。 投稿がどの顧客層に需要があるのか、投稿によってどれだけフォロワーが増え、または減るのかを知れば、フォロワーに寄り添った投稿ができるようになります。
また、事前にターゲットを絞ることによって、そのターゲットに寄り添った内容で投稿することができます。「このアカウントを見れば流行りがわかる」「いつも面白い投稿をする」など顧客に必要な情報を提供でき、エンゲージメント率を高められます。
顧客に合う内容やタイミングで投稿する
顧客が設定できれば、顧客に寄り添った需要のある投稿をすることができます。 例えば、ターゲットが女性ならば女性に需要のあるコスメのキャンペーンや、若い顧客がターゲットならば「応募で当たる」など簡単に参加できて景品がもらえるものが好まれます。
また、顧客に沿って投稿の時間を合わせることも重要です。どのタイミングが1番ターゲットである顧客の目に入りやすいのかをあらかじめ把握しておきましょう。目に入る機会が多ければエンゲージメントも自然と高まりやすくなります。
顧客とコミュニケーションをとる
顧客とコミュニケーションをとるのも、エンゲージメント率を高めるのに有効な方法です。コミュニケーションのひとつとして、大手企業が自身の投稿についたコメントに対して丁寧に返信しているのもSNS上ではよく見られます。
「〇〇の操作がわからない」「〇〇を買った」などの何気ない顧客の投稿を企業が拾うことにより、顧客の愛着心が上がります。また、企業側から積極的にコミュニケーションをとることによって、親しみやすさが上がり、イメージアップに繋がることもあります。
ハッシュタグを利用する
イベント会場で「ハッシュタグをつけて投稿するとプレゼント」や、居酒屋やカフェで「ハッシュタグをつけて写真投稿すると割引」など、近年のSNSの広まりにより企業がSNSのハッシュタグを利用したキャンペーンを行うことも多くなりました。
また、企業が発信する投稿でもハッシュタグをつけることによって顧客の目にも止まりやすくなります。特にInstagramではハッシュタグをつけないと検索できないので、いろいろなハッシュタグをつけた方が、多くの顧客の目に入る機会が増えます。
エンゲージメントマーケティングとは?
エンゲージメントマーケティングとは、顧客が企業や、その商品ブランドに愛着を高めていくことによって販促へ繋げるマーケティング手法です。SNSだけではなく、さまざまなメディアやツールを活用するのが特徴です。
現在はインターネットが普及したことによって、テレビなどの露出だけではなく、それ以外でも認知度を上げていく必要性が出てきました。スマホひとつで情報を取得できてしまうため、顧客の世代によっては、テレビを見ないということも十分に有り得ます。
気になったものはインターネットで検索することも多く、エンゲージメントマーケティングは、これからのマーケティング手法として特に需要になります。
エンゲージメントマーケティングの事例
では、どのようなエンゲージメントマーケティングの方法を企業が採用しているのか、事例を紹介していきましょう。
採算度外視のカスタマーサポートを展開した通販小売店
高品質のカスタマーサポートにより、高いエンゲージメントを獲得した海外のネット小売店の事例を紹介します。
大きなコールセンターを設けており、電話対応は解決するまで時間を惜しみません。ひとりの電話に何時間も対応をし、採算を度外視したカスタマーサポートをしています。
ひとりひとりに丁寧な電話対応をすることによって満足度も上がり、新規顧客の約半分が口コミで広まり、リピート率は75%を誇ります。送料無料で、返品は何度でも納得できるまで可能で、基本的に翌日配送で対応していることもポイントです。
「街中のショッピングと同様にネットでも楽しんで欲しい」という想いからこのようなサービスを徹底したことで、顧客のエンゲージメントを高めています。
居心地の良さを追求し、顧客からの提案を積極的に受け入れるコーヒーチェーン
コーヒーチェーンでエンゲージメントマーケティングを活用している事例を紹介します。
居心地のいい場所を提供したり、従業員の教育など徹底したりして、「何度も訪れたい」と思わせる環境作りをしています。環境作りもエンゲージメントを高める方法のひとつで、「あそこに行くと落ち着く」「ゆっくりできる」というのは顧客にとってまた訪れたいと思わせるのに十分な理由になります。また、2008年からは顧客がアイデアをWEBサイトに投稿し、企業がそれに答えるというサービスを開始しました。オンラインで顧客とコミュニケーションを取るのは、エンゲージメントを高めるのに有効な方法です。
従業員エンゲージメントとは?
マーケティングにおけるエンゲージメントの次は、人事におけるエンゲージメントについて説明します。従業員エンゲージメントとは、従業員が企業を信頼し、貢献したいと思う気持ちを表す言葉です。
従業員エンゲージメントが高ければ、労働への意欲も高まり、業績も向上する可能性があります。エンゲージメントは高い会社と低い会社の会社業績を比べると約3倍にもなったという調査結果もあります。
逆に低ければ業績にも影響し、また離職に繋がりやすくもなるので、人事において従業員エンゲージメントを高めるのはとても重要です。
従業員エンゲージメントを計測する方法
従業員エンゲージメントを計測するには、アンケートを用いる方法が主流になります。アンケートはeNPS調査(Employee Net Promoter Score)を用います。
eNPS調査というのは、「この企業で働くことを家族・友人に勧めたいですか?」というアンケートです。
勧めたいと思うレベルを0〜10で決め、0〜6は批判者、7〜8は中立者、9〜10は推奨者とし、全体の推奨者の割合から批判者の割合を引いた数値がeNPS値になります。このeNPS値が高ければエンゲージメントも高いことになります。
従業員エンゲージメントを高める方法
では、実際に従業員エンゲージメントを高めるにはどうすればいいのか、ひとつずつ解説していきます。
仕事の意義を理解させる
自分の仕事が何に繋がっているのか、目標や結果をしっかり提示しておけば仕事の意欲に繋がり、自然とエンゲージメントも高くなります。
企業と従業員の目指しているところが同じであれば共通点もでき、よりエンゲージメントが高まりやすくなります。
公正公平な人事評価をする
仕事の成果を正当に評価すれば自信に繋がり、より仕事への意欲も高くなります。
逆に「仲が良いから」「気に入られているから」と他者が不当に評価されているようでは、不満を感じ、企業へのイメージを悪くしてしまいます。
行った仕事を正当に評価すればエンゲージメントも高くなる傾向があるので、人事評価については十分に注意しなければなりません。
適材適所な人材配置を行う
従業員に不向きな仕事をさせていれば不満に繋がるので、適材適所な人事配置をしなければなりません。実現するための人事制度を2つ紹介します。
社内フリーエージェント制度とは、従業員自身が自分の経験や能力を希望部署に売り込み、異動をする人事制度です。また、社内公募制度とは、企業が必要とする職種を公開し、従業員から希望者を募る人事異動制度です。
どちらも従業員の希望によって異動が叶うのでエンゲージメントが高まりやすくなります。
まとめ
エンゲージメントは、マーケティングにおいても人事においても重要な意味を持ちます。エンゲージメントが低ければ企業として販促に繋がりにくく、人事においては離職率が高まり、生産性も低くなります。
マーケティングにおいても、人事においてもエンゲージメントを高めることは企業への成長に繋がるので、活用していきたいですね。
クレディセゾンはカード会社大手だからこその、マーケティングで役立つ情報を多く持っています。
エンゲージメントを高めたいというマーケティングの悩みを、解決するためにぜひこの機会にご利用をご検討ください。