マーケティング戦略の中でも、顧客のイメージを大きく左右するブランディングは非常に重要な要素です。この記事では、自社のブランディングを効果的に行いたい方に向けて、実際にブランディングで成功を収めた企業の事例を10個紹介しています。ブランディングの効果的な実践方法を解説しているので参考にしてください。
■ブランディングの成功事例10選
白いタオルのイメージで奇跡の復活をしたタオルメーカー
問題点
このタオルメーカーでは、歴史ある生産地であったにもかかわらず、ほかの業界と同様に海外から押し寄せてくる安価なタオルに押されて、業績が低下の一途をたどっていました。
ブランディングのポイント
このタオルメーカーでは、歴史ある生産地であったにもかかわらず、ほかの業界と同様に海外から押し寄せてくる安価なタオルに押されて、業績が低下の一途をたどっていました。
結果
このブランドタオルの認知度は「何となく記憶がある」人が2004年には約37%でしたが、2012 年には 2倍の70%を越えるまでになりました。「確実に知っている」も50%に達しています。
飲むと強くなるというイメージで勝負したエナジードリンク
問題点
エナジードリンクの業界では、創業100年以上の企業が多い中で、若い企業としては明確な差別化が必要でした。成分を強調したり価格を競い合ったりしたところで既に固まっているイメージを覆すほどの効果はなく、後発商品がブランドイメージを獲得するのは容易ではないことが問題でした。
ブランディングのポイント
従来のCMの「健康ドリンク」「年配の人のもの」といったイメージを逆手に取り、若者を田ターゲットに商品の内容よりもインパクトのあるキャッチコピーを繰り返すことで、若者へのアピールを主軸におきました。
結果
若者に浸透したブランドイメージが商品への興味も喚起することで、記録的な売上と高い利益率を確保し、エナジードリンク市場を代表するブランドとなりました。
ロゴやパッケージの統一で認知度を高めたコンビニのPB商品
問題点
PB商品のパッケージデザインが統一されていないため、売り場の統一感もなく、PB自体の認知度も低いままの状態が続いていました。
ブランディングのポイント
同一ブランドであることを前面に打ち出すため、ロゴマークやパッケージデザインを統一しました。PB商品の一群が陳列してあるコーナーを一見してわかるように展示方法やレイアウトも工夫しました。
結果
PBの認知度が高まった結果「安価で品質が高い」というイメージが浸透し、売上アップの効果が見られました。
品質の向上と伝統的な日本の飲み物というイメージを訴求した炭酸飲料
問題点
明治時代に作られた「炭酸飲料」は若い消費者に「古臭い」「おばあちゃんの家で飲むもの」などのイメージができてしまっていました。1997年をピークに、6年後の2003年には約1,000万ケースも減少しており、早急な対応が必要でした。
ブランディングのポイント
「新しくない」ことを伝統と位置づけ、長い期間飲まれ続ける国産商品、子どもに安心して飲ませることができる安全な飲み物として訴求、さらには爽やかなイメージのイメージキャラクターを起用しブランディングを行いました。
結果
「古臭い」というブランドイメージが払拭され、2007年には過去の売り上げピークだった1997年の記録を超えて3000万ケースを突破しました。
CMより顧客とのかかわりを優先したコーヒーチェーン店
問題点
テレビCMを打ったとしても、高額の広告費に比較して必ずしも期待した効果を得られるわけではありません。費用対効果だけでいえば、より実際に顧客を迎える現場である店舗での宣伝効果を高めたいという意図がありました。
ブランディングのポイント
従業員に対する人材育成を徹底することを先行させ、顧客満足度につなげる「インナーブランディング」を意識して実施しました。
結果
少し高くても品質のよいコーヒーを飲め、心地よいサービスを受けられる店にすることで顧客の支持を獲得しました。従業員が誇りをもって働くことで、この店を利用することがステータスと感じる顧客が増え、高い売上につながっています。
バブル期並みに利用者数を増やし続ける定期観光バス
問題点
景気や旅行業界のトレンドに左右されやすい定期観光バス業界ですが、特に邦人の利用客が減り、赤字経営が続いていました。赤字経営の対策として新たなブランディングによる集客が急務でした。
ブランディングのポイント
この定期観光バス会社しかできないサービスの開発のためのプロジェクトを組むことにしました。今までの地方や海外からの観光客が利用するもの、というイメージを覆し、観光だけではない思い出に残るような体験ができるツアーを打ち出しました。グルメなど、他の業界とも積極的にコラボしました。
結果
幅広いツアーの提案で、利用客の層を広げた結果、地方客や海外からの旅行者だけでなく在住者の楽しみのための利用も増えました。バブル期並みに利用者数を伸ばし、東京を観光するならこの「定期観光バス」でと言われるほどのブランド力をつけました。
おいしさの追求で独自性を打ち出したファストフード店
問題点
業界第一位のファストフード店は、注文して商品が出てくるまでの早さが魅力です。しかし顧客が求めるニーズが多様化していることもあり、競合他社に勝つためには「安い・早い」だけではない差別化したブランディングが求められていました。
ブランディングのポイント
競合との差別化のため、「高いが質が良い」「遅いが美味しい」「手をかけていて安心」という「おいしさ」を主軸に打ち出したブランディングを行い、価格も下げないようにしました。
結果
少し高くてもおいしいファストフードを求めている顧客の支持を受け安定した人気を保っています。ファストフードとしては遅くて高いものの、質が良く安心で美味しいファストフード店として独自のポジショニングに成功しています。
企業理念で顧客の信頼を取り戻せたメディカルカンパニー
問題点
1980年代に 起きた毒物事件で、お客様に重大な事故が発生しました。そのため企業として信頼を取り戻すための対応が急務でした。
ブランディングのポイント
事件発生直後に、マスコミを通じて「当該商品の服用中止」を全アメリカ国民に世警告を発信するとともに、全商品を回収しました。マスコミからの厳しい追及にも誠実に答え、顧客の安全が第一であることを伝え続けました。
結果
顧客の安全性を第一とし、顧客の安全を最優先する行動力と誠実さが高く評価され、ブランドのイメージを損なうことを避けることに成功しました。事件発生から2ヶ月後は、事件前の売上の80%にまで回復しました。
健康プログラムを実践した社員食堂から始まった計測機器製造販売会社
問題点
計測機器の製造販売企業としては、同業他社のようにテレビCMを盛んに流すわけでもなく、地味なイメージの存在に甘んじており、新しい顧客の獲得のためには、イメージの一新が必要でした。
ブランディングのポイント
社員に対する健康プログラムの一環として提供される社員食堂の食事をメインに、顧客の健康づくりに貢献することをテーマに掲げました。社員食堂にネーミングを施したりレシピ本を出版するなど、自社のよいところを消費者にシェアするスタイルで認知度を大きくアップさせました。
結果
健康ブームを巻き起こし、新しいイメージの定着に成功しました。食品企業や弁当宅配サービスなどともライセンス契約を結ぶなど、さらなるブランド認知拡大を進めています。
B級グルメでまちおこしに成功した地域ブランド戦略
問題点
人口減少と中心部の空洞化に悩まされており、中心市街地活性化を目指し、街により賑わいを取り戻すための取り組みが急務でした。
ブランディングのポイント
地域が誇る昔から親しまれている料理をB級グルメとして打ち出し、まちおこしに取り組みました。普及活動する組織やメンバーにユニークな名前を付けることで話題を集めることに成功。B級グルメ大会への出場や、同種の地域名物料理を持つ地区との連携によるイベントや話題づくりも効果的でした。
結果
B級グルメ大会で2年連続優勝したことで、マスコミに取り上げられることが増え知名度が上がりました。バスツアーなどで訪れる観光客も増え、地域の活性化に貢献しました。
■成果につながるブランディングの実践方法
自社の強みを分析
ブランディングを実践するためには、自社の強みを知る必要があります。自社の強みを分析し、ブランディングのターゲット層も正しく決めること重要です。これらの分析を行うための手法としてSWOT分析、3C分析などがあります。
SWOT分析は、企業の強みと弱みという内部環境と、機会と脅威という外部環境の4要素から自社ビジネスを分析する手法です。自社の「強み」「弱み」を実際に書き出し、社会や業界の現状や競合との差分と照合することによって、多角的に事業を俯瞰することができるため、ブランディングのアイデア構築に役立つとされています。
また、ブランディングにおける3C分析は、自社・競合・市場と顧客という3つのCを分析して、ブランド戦略を立てる手法です。自社のおかれている市場を正確に把握したい時などに使用します。
ブランド価値の検討
自社の強みの分析ができたら、ブランド価値の検討のステップへと進みます。ブランド・アイデンティティの検討です。ブランド・アイデンティティとはロゴマークやキャッチコピーなど、そのブランドのイメージを左右する要素のことを指します。ここで考えるべき点は、顧客にどのようなイメージを持ってもらいたいかであり、提供したい・提供できるブランドの価値とマッチしている必要があります。
ブランドイメージと提供する価値については、競合他社と差別化できることも重要です。さらに、より期待するイメージを持ってもらいやすい効果的なブランドストーリーを構築することも必要になります。ブランドストーリーは、顧客が共感しやすく、消費行動に移りやすいものでなければいけません。
効果的な訴求法の考案
構築したブランドストーリーは効果的に顧客に伝えることに意味があります。どのように伝えるかは、一般的にはテレビやWEBサイト、新聞などのメディアや、チラシを配るなどの広報活動・店頭イベント・商品パッケージ、SNSなど多くの手段があります。
効果的な訴求を行うためには、ターゲットがよく利用する手段を選ぶことが重要です。ターゲットの属性によって効果的な見せ方が変わります。ブランド展開においては、考案した訴求法が実際に効果を上げているかの検討も必ず行いましょう。
■まとめ
ブランディングを成功させるためには、自社の強みを知り、置かれている環境を分析してブランド・アイデンティティを決め、ブランドストーリーも作りあげる必要があります。さらに、実践に移した後んも効果の検討を行わなければなりません。また、成功事例から役立つ情報を探すことも重要です。
長年の消費活性化サービスの経験とビッグデータを持つクレディセゾンのマーケティングソリューションを活用すれば、ブランド戦略を難しいと感じている企業の課題解決に役立ちます。
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