会社でマーケティング担当になったものの、自社に合う分析方法がわからないという方も多いのではないでしょうか。
この記事では、マーケティング分析の初心者向けに3C分析からバリューチェーン分析まで主要な分析方法7つを全て紹介します。事例も載せていますので、ぜひ参考にしてください。
■3C分析
3C分析とは
3C分析は、マーケティング環境分野におけるフレームワークのことです。
3Cとは、
・Customer(市場・顧客)
・Competitor(競合)
・Company(自社)
の3つの要素で整理することによって、マーケティングのミクロ環境分析を漏れなく行えるようになっています。
データから3つのCを分析し、マーケティングの成功要因を発見するのが目的となります。
3Cの分析方法
3Cの分析方法は、おおまかに分けて3つあります。
市場規模や市場の潜在ニーズなどを導き出す「市場分析」、市場において競合企業のマーケティング活動を分析し、対抗策を考える「競合分析」、自社の売上高や市場シェア、収益率などを分析する「自社分析」です。
この分析結果を元に、今後の自社の目標や計画を立てていきます。
3C分析については、こちらの記事でも詳しく解説していますので参考にしてください。
【マーケティングコラム】3C分析とは 具体的な方法からコツまでくわしく解説
3C分析の事例
某大手コーヒーチェーンは、日本進出から20年で1000店舗以上を展開し、成功を収めました。3C分析を行ったところ、躍進した理由としては、他店が提供できなかった「おしゃれ」「高級感がある」のある店舗であり、競合とは正反対のポジションにあることがわかりました。他におしゃれで高級感のあるコーヒーチェーンが存在しなかったため、顧客の潜在ニーズに応えられることが強みでした。
■SWOT分析
SWOT分析とは
SWOT分析は、以下の4つの要素から市場環境を分析します。
・Strengths(強み)
・Weaknesses(弱み)
・Opportunities(機会)
・Threats(脅威)
マーケティングの戦略を練る際に、この4つを組み合わせて分析し、新たなチャンスや潜在的なリスクを見つけ出すのが目的となります。
SWOTの分析方法
マーケティング環境分析の順序としては、PEST分析→3C分析→SWOT分析となります。
SWOT分析は、マーケティング戦略を検討するプロセスの一つである「環境分析」で利用します。PEST分析と3C分析で得たマーケティング環境情報を、SWOT分析することで事実情報を解釈し、その上で戦略目標を立てていきます。
またクロスSWOT分析は、強み、弱み、機会、脅威を2つずつ組み合わせて解釈し、同じ事実情報から多面的な分析を行います。
SWOT分析についてはこちらの記事でも詳しく解説しています。
【マーケティングコラム】SWOT分析とは?読み方・目的・分析方法など徹底解説!
SWOT分析の事例
某巨大テーマパーク運営会社で、SWOT分析を行ったところ以下のような結果が出ました。
強み(S)→入場者世界最大のリゾートを運営、熱狂的なファンがいる など
弱み(W)→アトラクションの待ち時間が長い、敷地が広く移動時間が長い など
機会(O)→新しいキャラクターやアトラクションが増える、外国人観光客が増える など
脅威(T)→競合がアトラクションを刷新し収益を上げる、人口減少による国内市場の減少 など
■STP分析
STP分析とは
STP分析は、環境分析で得られた情報を下敷きにして、以下の3つの要素で顧客の絞り込みを行います。
・Segmentation(セグメンテーション)
・Targeting(ターゲッティング)
・Positioning(ポジショニング)
STPの分析方法
セグメンテーションで市場を細分化してニーズの似た顧客層を分類し、ターゲッティングで顧客を明確化し、ポジショニングで競合との差別化をはかります。3つの切り口でターゲットを絞り込み、自社に最適な顧客を割り出します。
STP分析の事例
2006年、某大手電機メーカーでは、PC事業からの撤退か存続するかという岐路に立たされていました。PC市場では後発だったため、シェア拡大の波に乗れなかったのです。そこで戦略として、一般向けではなく法人需要と外回りの営業職に絞った商品開発を行いました。その結果、顧客のニーズに応えたノートPCを売り出して大ヒットしました。
■PEST分析
PEST分析とは
PEST分析は、マクロ環境から受ける影響を以下の4つの視点で分析します。
・Politics(政治面)
・Economy(経済面)
・Society(社会・ライフスタイル面)
・Technology(技術面)
具体的には、日々飛び込んでくるニュースや情報を選別し、適切なマーケティング戦略を立ててゆきます。
PEST分析の方法
PEST分析は、まず「事実」と「解釈」をわけて整理します。
事実とは誰が見ても納得できる情報で、解釈はある事実に対し個人が主観で理解した内容となります。解釈で市場環境を分析すると、結果が正しいものとはなりません。事実の自社の収益性に影響する「変化」も重要です。現状と今後の変化を予測・分析することで、正しい結果が出ます。
PEST分析の事例
ヨーロッパの某銀行はイギリスがEU離脱を採択したあとに、あえて本部をイギリスに移転する計画を立てました。EU離脱によって他の金融機関は、イギリスから他国に拠点を移す動きがある中での決断です。あえてイギリスに投資をすることで関係強化を図り、ライバルと差別化するという狙いがあるようです。
PEST分析についてはこちらの記事でも詳しく解説しています。
【マーケティングコラム】PEST分析の手順と目的|分析のポイントや活用事例まで紹介
■4P分析
4P分析とは
4P分析は、以下の4つの要素で、基本的なマーケティング内容を決めてゆきます。
・Product(製品)
・Price(価格)
・Place(流通)
・Promotion(販売促進)
この4つのPを組み合わせて使い、売上の向上や顧客獲得のためのマーケティング戦略を立てます。
4P分析の方法
まずは消費者目線で物事や商品を見て、自社と競合他社両方のターゲット市場の特性を考えます。
その後、間違いや矛盾を修正し、さらに4つのPのバランスや組み合わせ(価格とプロモーション、製品と価格、など)をすることで、最適な施策や販売促進の方法を立案してゆきます。
4P分析の事例
某化粧品会社は飲料市場に参入する際、「中高年のビジネスマン」向けに「健康によい」緑茶飲料を売り出しました。
4P分析では、
製品→特定保健用食品の認定を受け、「体脂肪が気になる方へ」というコピーを作成
価格→緑茶飲料としては高価だが、有効性や安全性を提供
流通→多忙なビジネスマンでも買いやすいように、コンビニエンスストア限定販売にした
プロモーション→積極的にテレビ広告を投入
となります。
結果、緑茶飲料は大ヒットし、10ヶ月で200億円の売上高を達成しました。
■5フォース分析
5フォース分析とは
5フォース分析は、以下の5つの視点で、自社を含めた業界の競争環境と要因を分析し収益性を測ります。
・買い手の交渉力
・売り手の交渉力
・業界内の競争
・新規参入の脅威
・代替品の脅威
同じ商品でも代替品があったり、商品に差をつけにくい業界の場合は企業間の競争が激しくなります。常に自社にとってかわる脅威に晒されているため注意が必要です。
5フォース分析の方法
「買い手の交渉力」は、供給過剰の度合いや差別化のしやすさ、買い手の寡占度の度合いで分析します。
「売り手の交渉力」は、仕入れ部材の需要過多や差別化のしやすさ、価格相場のブラックボックス化、さらには供給業者の寡占度で分析します。
「業界内の競争」は、競合企業の数や固定費の高さ、撤退障壁の高さで分析します。
「新規参入の脅威」は、法規制の数、規模の経済性の働きにくさ、技術難易度、チャネル構築の容易さで分析します。
「代替品の脅威」は、代替品の多さ、提供価値の高さ、コスト、業界の企業規模で分析します。
5フォース分析の事例
某大手ハンバーガーチェーンを5フォース分析すると、
売り手の交渉力→店舗が多く食材を大量に仕入れるため、供給会社に対する交渉力は高い
買い手の交渉力→競合他社に比べて差別化された商品かどうかがカギ
業界内の競争→競合はたくさんあるが、成熟業界に比べると競争は激しくない
新規参入の脅威→参入はあるものの、脅威とまではいえない
代替品の脅威→ハンバーガー以外の軽食や丼ものといった代替品は多数あり、脅威
となります。
■バリューチェーン分析
バリューチェーン分析とは
バリューチェーン分析は、以下の9つの要素で、自社の商品・サービスに価値が生まれるまでの過程を分析します。
・購買物流
・製造
・出荷物流
・販売・マーケティング
・サービス
・全般管理
・人事・労務管理
・技術開発
・調達活動
マーケティング活動においてコスト削減が可能な部分や、高い価値のある部分を見つけ出すのに役立ちます。
バリューチェーン分析の方法
まず、自社のバリューチェーン、主たる活動と支援活動を把握します。
次に各レイヤー(商品企画や仕入れなどの活動)のコストを把握します。
さらに各レイヤーの強みと弱みを分析します。
最後に、バリューチェーンをVRIO(ヴェリオ)で分析します。
VRIOは、
・Value(価値)
・Rareness(希少性)
・Imitability(模倣可能性)
・Organization(組織)
で、経営資源を分析する際の4つの要素です。
バリューチェーン分析の方法
某大手衣料品販売チェーンの、バリューチェーンは、
・商品の開発
・大量生産
・直営店へ輸送
・シンプルな陳列
・セルフに近いレジ精算
となります。
質のよい衣料品を安価で提供するところに力を入れ、価値を出しています。
■まとめ
マーケティングの分析方法には、3C分析をはじめとして様々な手法があり、自社の置かれた環境、競合の数、商品やサービスに合ったものを選んで分析することが重要です。
自社に合う分析そのものがわからない場合は、プロに任せてみるのも手です。
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