総務省は、2020年10月27日にモバイル市場の公正な競争環境の整備を目指して、アクションプランを発表しました。
アクションプランの基本的な考え方は、いまや生活必需品となった携帯電話の料金やサービスを国民や利用者がわかりやすくて納得のいくものにする必要があるとしています。
そのための具体的な取り組みとして、アクションプランでは3つの柱と実施項目を明示し、それぞれの事業者に対して積極的に取り組むことを求めました。
この記事では、アクションプランの3つの柱についてわかりやすく解説していきます。携帯料金が今後どのように値下げしていくのか興味のある方は、ぜひ参考にしてみてください。
第1の柱.分かりやすく、納得感のある料金・サービスの実現
まず、アクションプランの第1の柱について解説していきましょう。第1の柱の目的は、利用者の理解を助けるため、わかりやすく納得感のある料金とサービスを実現させることです。
複雑な料金プランやサービスを是正
現在、携帯電話の料金プランやサービスは複雑なものが多く、利用者自身も契約内容について理解できていないケースが多くみられます。
店頭で契約する際に、お店のスタッフに勧められるがまま契約を結んでしまい、必要のないサービスまで契約している場合も少なくありません。
このように、複雑な料金プランやサービスは利用者の適切な選択を阻んでいる恐れがあるとして、是正を求めているのです。
また第1の柱では、それぞれの事業者が公正な競争をするためには、利用者が料金やサービスを理解できることが前提であることも明らかにしています。
具体的な取り組み
第1の柱の具体的な取り組みとして、以下の項目の実施が推進されました。
・誤解を与えるような表記を是正する
・消費者がサービスを理解できるポータルサイトを構築する
・中古端末を含めた端末流通市場を活性化させる
わかりやすく、納得感のある料金やサービスの提供は、利用者が最適な携帯会社を選択する目安になります。そのため、各事業所は公正な競争に勝つために、利用者のニーズに合わせた経営戦略を立てる必要性が出てくるでしょう。
第2の柱.事業者間の公正な競争の促進
次に、第2の柱について解説していきます。第2の柱の目的は、多様で魅力的なサービスを生み出すために、事業者間の公正な競争を促進することです。
多様なサービスを展開
第2の柱では、それぞれの事業者が多様なサービスを展開するために、2つの取り組みを掲げています。
ひとつ目は、MVNO(格安スマホ会社)の料金設定を左右しているネットワークの使用料を適正に確保すること。つまり、格安スマホ会社が大手携帯電話会社に支払っているネットワーク使用料を適正なものにしていくということです。
ふたつ目は、MNO(大手携帯会社3社)間での公正な競争環境を促進することです。大手携帯会社3社(ドコモ、au、ソフトバンク)の間で公正な価格競争を行えるように、環境を整えていくことを促しています。
具体的な取り組み
第2の柱の具体的な取り組みとして、格安スマホ会社が大手携帯電話会社に支払っているデータ接続料を、2020年度から3年間で半分程度引き下げることと、音声卸売料金の引き下げをあげています。
また、大手携帯会社3社の価格競争を公正にするために、周波数の有効活用や、インフラシェアリングを促進するなどをあげています。
第3の柱.事業者間の乗換えの円滑化
最後に、第3の柱について解説しましょう。第3の柱の目的は、携帯会社の乗り換えを手軽にするために、乗り換え手続きの円滑化を図ることです。
携帯をスムーズに乗り換えできる環境を整備
事業者間の乗換えを円滑にするために、総務省は契約内容にとらわれない環境づくりを求めています。
また、利用者の過度な囲い込みを防ぐために、契約期間の2年縛りや、解約を伝えた際の過度な引き留め、解約手数料などをなくすように呼びかけているのです。
具体的な取り組み
第3の柱の具体的な取り組みとして、以下の項目があります。
・番号持ち運び制度(MNP)の利用環境を整備する
・契約者の情報を書き込むSIMカードを端末に内蔵させた「eSIM」の普及に努める
・SIMロック解除の推進をする
・キャリアメールを乗り換えした後でもそのまま使えるように検討
・固定と携帯のセット割引を検証する
契約期間に縛られず、自由に携帯会社を乗り換えられるようになれば、利用者は自分に適した携帯会社を選択できます。携帯会社は利用者に選ばれる事業者になるために、多方面で戦略を立てなければならなくなるでしょう。
携帯料金はこれからどうなる?その傾向を掴むには
総務省が発表したアクションプランによって、それぞれの携帯会社が方針に沿った取り組みを行うと予想されます。
すでに、ドコモは2,980円で20GBのデータ通信を行える「ahamo(アハモ)」を発表しました。auもAmazonプライムがついた新料金プランを発表しましたが、プランの実態がわかりづらかったため、ネット上では期待外れとの声が多数よせられています。
携帯会社は今後、安くてわかりやすいプランを次々と発表すると考えられます。人々は今まで以上に、自分のライフスタイルにあったプランを選択できるようになるでしょう。
このように、価格競争のあるマーケットでは、消費者はより良いサービスを選ぼうとします。企業は消費者から選ばれるために、商品・サービスの充実や改良を行い続ける必要があるでしょう。
しかし、近年において消費者のニーズは多様化し、品質が良く低価格なものが必ずしも売れるとは限らなくなっています。
成熟したマーケットで企業が生き残るには、消費者の行動変容を把握し、適切なターゲットに対して訴求しなければなりません。
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まとめ
総務省が発表したアクションプランの概要についてご紹介しました。
生活必需品となった携帯電話を国民や利用者が安心して使えるように、政府は携帯電話事業者に対してさまざまな取り組みを促進しています。携帯電話事業者間では今後、これまで以上に価格競争が活発になるでしょう。
価格競争のあるマーケットにおいて企業が生き残るには、商品・サービスの充実だけでなく、適切なターゲットの選定が必要です。
ぜひクレディセゾンのデータマーケティングを活用し、ターゲットに合わせたアプローチを実施しましょう。