「マーケティングツールの導入を検討しているものの、何を選べばよいかわからない…」という方もいるのではないでしょうか?マーケティングツールとは、企業のマーケティング活動を支援するソフトウェアの総称です。販売促進の他、市場分析・広告の効果測定など、さまざまな機能を持ったタイプがあり、利用する用途によって選ぶべきツールは変わってきます。今回は、マーケティングツールの概要や種類の他、活用方法について解説します。
マーケティングツールとは?
マーケティングツールの機能と効果
マーケティングツールの主な機能としては、「見込み顧客の一元管理」「顧客の分析・分類」「顧客データ収集・管理の自動化」などがあります。
人の手で行われていた従来の方法では、スキルや経験によって結果が左右される他、膨大なデータを扱うには限界がありました。しかし、AIや機械学習を搭載したマーケティングツールを活用することで、上述したデータ管理・収集・分析が容易になり、マーケティングに関わる業務の大幅な効率化が図れます。また、膨大なデータを基に、ターゲット選定や戦略立案ができるため、「購買に至るターゲットのペルソナがより明確になる」「従来のマーケティング手法では出せなかった戦略を見いだせる」といった効果も期待できます。
マーケティングツールが注目された背景
マーケティングツールが注目された理由は、「消費者行動の変化」と「既存顧客との関係性構築の必要性」が挙げられます。
モノにあふれる現代は、「マスマーケティング」や価格競争だけでは購入につながりにくいのが現状です。画一的なアプローチではなく、消費者一人ひとりのニーズに合わせた「One to Oneマーケティング」が必要となっています。近年、インターネットやSNSの進化で、消費者からの情報発信が活発化しています。消費者の行動特性や嗜好に合わせたマーケティングの重要性が高まる中、企業は「マーケティングツール」に注目しているのです。
また、企業はコストが高い新規顧客の開拓から、既存顧客の関係性構築にシフトしている場面あり、既存顧客のアフターフォローにマーケティングツールを利用するケースも見られます。
ステップごとに使い分ける!マーケティングツールの種類
マーケティングツールは、「市場調査・分析」「集客・育成」といった各ステップに合わせて選ぶことができます。マーケティングツールの種類を解説する前に、まずは各ステップをおさらいしておきましょう。
マーケティングの5つのステップ
・1.市場調査・分析
市場調査・分析を行ない、ターゲットを設定しましょう。3C分析やSTP分析を行なったり、市場環境や競合他社の状況を調査したりします。従来に比べてターゲット層のニーズがより細かくなっているため、より詳細な選定を行なうのがポイントです。
・2.集客と顧客育成
商品・サービスに興味があるリード(見込み顧客)を集客(リードジェネレーション)するには、例えば、セミナー開催や名刺交換などのリードとの距離を縮めるマーケティングを実施しましょう。
また、顧客育成(リードナーチャリング)のため、リードへの情報提供によって、商品・サービスの購入を促すのも手です。SNSやホームページを使用して、継続的にリードが求める情報を提供しましょう。
・3.インサイドセールスとフィールドセールス
リード(見込み顧客)への情報提供や商談のアポイント獲得を目的に、電話やメールなどを使用したインサイドセールス(内勤型の営業方法)を行ないます。その次にフィールドセールス(外回りの営業)を行ない、顧客との接点を強めましょう。
「情報提供・アポイントの獲得・外回りの営業」をひとりが行なっていた従来型の営業と比較し、負担軽減がされて効率性が高まっています。
・4.顧客との関係構築
商品・サービスの販売後は、アフターフォローや他の商品の紹介など、さらなる販売促進を目指しましょう。販売に至らなかった場合は、その要因を検討して再度アプローチを行ないます。リードの需要に変化が起きたときに対応できるように、アプローチを継続して良好な関係を築いておきましょう。
・5.マーケティング施策の効果測定・分析
1~4を実施した後は、マーケティングの効果を測定・分析。実施したマーケティング戦略の練り直しや、より効果的な戦略を策定しましょう。
マーケティングツールの種類と特徴
マーケティングツールに大きく分けて以下の5種類があります。それぞれの概要と、どのステップに合ったツールなのかをご紹介します。
ABMツール
「ABM(Account Based Marketing:アカウントベースドマーケティング)」とは、組織に注目したマーケティングツール。「1.市場調査・分析」のステップで活用できる、マーケティングツールです。BtoB領域が得意分野で、企業全体や部署単位で戦略を立てられます。過去の取引履歴などをもとに複数の企業の中から自社に合ったターゲット企業を特定できるため、ターゲット層の特定に有効です。
MAツール
「MA(Marketing Automation:マーケティングオートメーション)」とは、収集したリードのデータからリード個人の興味に合わせた戦略を立てるマーケティングツール。「2.集客と顧客育成」のステップで活用できます。人の手では対応が難しい膨大な情報管理が得意で、集めたデータの中から個人に合わせたマーケティング活動を実施します。
SFAツール
「SFA(Sales Force Automation:セールスフォースオートメーション)」とは、インサイドセールスやフィールドセールスで使われる、進捗管理や生産性向上のためのマーケティングツール。「3.インサイドセールスとフィールドセールス」のステップで活用できます。別名「営業支援システム」とも呼ばれるマーケティングツールで、「営業担当者のみが進捗状況・予定を把握している」といった状況を作りません。
CRM・CDPツール
「CRM(Customer Relationship Management:カスタマーリレーションシップマネジメント)」「CDP(Customer Data Platform:カスタマーデータプラットフォーム)」とは、アフターフォローや顧客管理に特化したマーケティングツール。「4.顧客との関係構築」のステップで利用できます。管理できるデータ数に違いがあり、CDPの方がCRMよりも膨大なデータの取り扱いが可能。ただし、メール送信などには他のツールが必要です。
BIツール
「BI(Business Intelligence:ビジネスインテリジェンス)」とは、マーケティング効果の可視化に特化したマーケティングツール。「5.マーケティング施策の効果測定・分析」で利用できます。収集データを図や表を用いてグラフにすることで、どのような効果があったのかをパッと見るだけで把握できます。マーケティング施策の分析・フィードバックに役立てられます。
マーケティングツールの導入を検討する際のポイント
課題と導入する目的を整理
マーケティング活動における主な課題を抽出しましょう。例えば、「リードの情報管理がうまくいかない」「アフターフォローまで手が回らない」などです。課題を挙げた後、「マーケティングツールの使用によって、何を改善したいか?」という目的を明確にしてください。
解決する課題に優先順位をつける
課題と導入目的が明確になったら、どの課題を優先的に解決させたいかを考えましょう。それぞれのツールに得意分野があることから、ひとつの「マーケティングツール」ですべての課題を解決するのは現実的ではありません。マーケティングツールの使用用途を踏まえて、課題に優先順位をつけましょう。
導入による費用対効果を考える
一般的にマーケティングツールは、高額になるほど分析精度が高く、カスタマイズの自由度が上がります。しかし、「高額なツール=自社に合う」とは限りません。オーバースペックでうまく活用できない可能性もあるでしょう。複数の会社を比較して機能やサポート体制をチェックしましょう。小規模な施策の場合は、安価なマーケティングツールから導入するのもひとつの方法です。
ツールの活用に必要なリソースとスキルを把握
「マーケティングツール」は優れたツールのひとつですが、使いこなすためには専任のマーケターが必要なケースも。マーケティングツールの導入に加えて、専門スキルを持った人材確保も求められます。
候補ツールの比較・検討
マーケティングツールの比較・検討において大切なのは「自社の課題解決に必要な機能がある」「自社のビジネスモデルに合っている」ことです。ビジネスモデルによって、使うべきマーケティングツールは異なります。
先を見越したマーケティングツールを選ぶには、購入後のアフターフォローの充実度も検討基準になるでしょう。
マーケティングツールの成功パターンとは
MAツールの成功パターン
とある航空会社では、非スマートフォン対応のアンケートシステムを使用しており、顧客の声を集めることが難しい状態でした。そこで、顧客が快適に使用できるシステム構築のため、「MA」のマーケティングツールを導入。その結果、スマートフォン向けに操作性の高いサイト運用ができるようになり、幅広い顧客からアンケート収集が可能に。MAのマーケティングツールの活用で、リードの情報収集・管理に成功しました。
SFAツールの成功パターン
とあるスポーツ用品を扱う企業では、営業スタッフによって情報の管理方法がバラバラで、不在時の顧客からの電話対応が難しくなっていました。そこで、情報共有と管理方法の統一を目的に「SFA」のマーケティングツールを導入。営業部内だけではなく企業全体でスケジュール把握ができ、顧客からの問い合わせに迅速に対応できるようになりました。
CRMツールの成功パターン
とある自動車メーカーでは、販売店に「CRMツール」のマーケティングツールを導入。各店舗にクラウド顧客管理システムを設置し、来店顧客に年齢・車の好み・購入目的などを自ら入力してもらうように促すことに。ディーラースタッフに代わってシステムが各顧客にマッチした車を提案できるようになり、顧客主体で好みの車を探せるメリットが生まれました。
なお、収集データはビッグデータとして活用され、顧客の要望に沿った新商品開発にも役立てられています。
まとめ
マーケティングツールとは、AIや機械学習を搭載したソフトウェアです。人力では取り扱えない膨大な顧客データを収集・管理・分析でき、マーケティングの精度を高めたり、業務負荷を大幅に軽減したりするのに役立ちます。
また、マーケティングツールにはさまざまなバリエーションがあり、それぞれ得意分野が異なります。「市場調査・分析に特化したもの」「効果測定に特化したもの」などがあるため、検討する際のポイントでご紹介したように、ツールを導入する目的を明確にして、それに合ったものを選ぶことが大切です。 今回ご紹介したマーケティングツールの種類、検討する際のポイント、成功事例などを参考に、自社に最適なマーケティングツールを選んでみてください。